近年、電力供給の安定性確保を目的とした「DR(ディマンドレスポンス)補助金」が注目を集めています。
太陽光発電や蓄電池の導入を検討している方の中には、DR補助金について耳にしたことがあるかもしれません。
補助金を活用することで初期費用を抑えられる一方、申請手続きの煩雑さや、補助額の上限設定、DR参加の義務など、デメリットや注意点も存在します。
本コラムでは、DR補助金の主なデメリットと他の制度との比較を解説します。導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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DR補助金の主なデメリット

DR補助金は家庭用蓄電池の導入において費用を抑えられる魅力的な制度ですが、メリットだけではありません。デメリットも理解したうえで、検討を進めることが大切です。
補助対象機器や事業者が限定されている
DR補助金の補助対象となる蓄電池や機器は指定されています。
具体的には、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)に登録された製品のみが対象です。また、購入先も認定された事業者に限られます。すなわち選択の自由度が制限されることがデメリットです。
設置を考えている製品が補助金の対象になるかどうか、DR家庭用蓄電池事業のウェブサイトで予め確認しておきましょう。特に、最新モデルや特定メーカーの製品を希望されている方は、補助金の対象になっていない可能性があるため注意が必要です。
参考記事:令和6年度補正 DR家庭用蓄電池事業
申請や設置に時間と手続きの負担がかかる
DR補助金の申請手続きは複雑で、さまざまな書類準備や手続きが必要です。
まず、補助金の交付決定前に設備の購入や工事契約をおこなうと補助対象外となるので注意しましょう。
また、補助金の申請から交付決定までに時間がかかるため、工事や補助金が入金されるまでのスケジュール調整が難しくなることもあります。
補助金の申請手続きは販売事業者が代行しますが、本人登録など、機器を設置する本人でしかできない手順もあります。また、必要書類の提出や申請期限などは、利用者自身が注意深く確認する必要があります。手続きの煩雑さが補助金申請のハードルを上げてしまうことがデメリットです。
設備の導入と補助金の申請をする前に、補助金の申請等の手続きの流れを理解しておくと計画的に準備を進められるでしょう。
参考記事:令和6年度補正 DR家庭用蓄電池事業
補助額に上限があり全額カバーできない
DR補助金は蓄電池の機器購入や設置工事など導入費用の一部を補助するものですが、補助額には上限があります。
1申請あたりの上限は最大60万円です。初期実効容量1kWhあたり3.7万円、または設備購入および設置工事費の3分の1、いずれか低い方の金額が適用されます。
そのため、補助金で全額をカバーすることはできません。
補助金額は対象年度やプログラムにより異なるため、最新の情報を確認することが重要です。あてにしていた補助金が受給できないということがないように、補助金と実際の負担額を計算して予算を組みましょう。
参考記事:蓄電池のDR補助金、補助金額や申請条件は?2025年(令和7年)最新版
【2025年最新】DR補助金について概要から補助金額、要件までわかりやすく解説!
DR(ディマンドレスポンス)参加が必要
DR補助金を受けるには、実際にDR(ディマンドレスポンス)プログラムに参加し、電力需給の調整に協力することが求められます。
具体的には、電力会社からの要請に応じて蓄電池の充放電をおこなう必要があるということです。
災害や季節によって電力の需要が高まっている時期に、電力需給ひっ迫警報(節電要請)が発令されるケースがあります。電力不足による停電を防ぐために、家庭用蓄電池の充電と放電を調整するのがDRプログラムです。
DRの参加により、自宅の蓄電池が自動的に制御され、意図しないタイミングで放電や充電がおこなわれる可能性があります。その結果、自分の思い通りに電力を使用できない場合があることがデメリットです。
参考記事:蓄電池のDR補助金、補助金額や申請条件は?2025年(令和7年)最新版
補助金交付に時間がかかる
DR補助金の交付までには一定の時間がかかります。申請から交付決定までは数ヶ月を要することもあり、補助金の入金を見込んで資金計画を立てる場合は注意が必要です。
また、補助金は予算枠が限られており、上限に達すると期間終了を待たず受付は終了してしまいます。申請のタイミングを逃すと補助金を受け取れないリスクがあるため、スケジュール管理が重要です。
参考記事:【いつ振り込まれる?】気になる蓄電池補助金の支給時期

DR補助金と他の制度との比較

DR補助金以外にも、蓄電池導入を支援する制度があります。それぞれの特徴を比較し、最適な制度を選ぶことが大切です。
DER補助金との違いと選び方
DER補助金は、分散型エネルギーリソースの導入を促進するための補助金です。DR補助金とよく似た名前ですが、目的や対象機器が異なります。
DER補助金は、自己発電システムを活用することで発電所だけに頼らない安定した電力供給を目指すことが目的です。
実証実験に参加することが条件で、主に太陽光発電システムや電気自動車(EV)などが対象となり、蓄電池単独では対象外の場合があります。
一方、DR補助金は蓄電池の導入に特化しており、電力需給調整への協力が前提となります。どちらを選ぶかは、導入したい機器や目的に応じて判断することが重要です。
地方自治体の補助金との比較
多くの地方自治体でも、蓄電池や太陽光発電システムの導入に対する補助金制度があります。
自治体の補助金は、国の補助金と併用できる場合が多く、総額でより多くの補助を受けられる可能性があります。
ただし、自治体の補助金は予算や申請期間が限られており、早期に締め切られることもあります。また、対象となる機器や条件が自治体ごとに異なるため、事前に確認することが必要です。詳しくは、お住まいの自治体の公式ウェブサイトでご確認ください。
※参考
・愛知県:愛知県住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金(市町村との協調補助)
・東京都:災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業 令和6年度事業の受付期間及び令和7年度事業の概要・今後の予定について
・三重県:令和7年度三重県太陽光発電設備等設置費(個人向け)補助金
・静岡県:家庭用蓄電池システムの補助
補助金併用時の注意点
DR補助金は国の他の補助金との併用が不可となっています。
一方で、地方自治体の補助金とは併用可能な場合が多いです。しかし、併用時にはそれぞれの制度の条件や申請手順をしっかりと確認する必要があります。
特に、申請のタイミングや必要書類が異なる場合があるため、全体のスケジュールを見ながら手続きを進めることが重要です。
誤った手続きをすると、補助金を受け取れなくなる可能性もあるため、慎重な対応が求められます。
参考資料:事業概要資料

まとめ
DR補助金は蓄電池導入の初期費用を抑える魅力的な制度ですが、補助対象設備や事業者の限定、手続きの煩雑さ、DR参加への協力義務や補助額に上限が設定されていることなど、注意点もいくつかあります。
しかし、自分のニーズや状況に合った選択をすることができれば、マイナス面以上のメリットが得られます。
自己発電が可能な太陽光発電と組みあわせれば、電気代の節約につながり、停電や災害時にも電気を使用できることが最大の利点です。
対象設備や事業者、申請手続きなど調べることが多くて大変と感じている方は、ぜひエコまるへご相談ください!
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