地球温暖化やエネルギー資源の枯渇が叫ばれる現代、再生可能エネルギー(再エネ)の普及は世界的な課題となっています。
個人や企業でも、太陽光発電をはじめとする再エネの導入を検討するケースが増えています。しかし、再エネの導入には決して安くないコストがかかるため、失敗したくないものです。
このコラムでは、日本と世界における再エネの取り組み事例を紹介します。実際の企業や自治体がどのように再エネを導入・活用しているのか知り、再エネ導入を成功させましょう。
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日本の再生可能エネルギー導入事例

日本では東日本大震災以降、エネルギー供給源の多様化と再エネの導入が進んでいます。2024年の再エネの電力比率は約21.9%に達し、再エネ発電設備容量は世界6位、太陽光発電は世界3位となりました。
ここでは、日本国内の企業、自治体、家庭での再エネ導入事例をご紹介します。
企業の導入事例
日本の企業では、積極的に再エネの導入が進められている状況です。ここでは「トヨタ自動車」「キリングループ」の導入事例を見てみましょう。
トヨタ自動車
トヨタ自動車は、世界中の工場から排出するCO2を、2050年までにゼロにする取り組みを進めています。
その一環として、太陽光発電や風力発電を積極的に導入しています。具体的なCO2削減量の数値は発表されていませんが、石油使用量についてはさっそく実績をあげており、火力発電所と比べて年間約500キロリットルの石油使用量の削減に成功しました。
引用:トヨタ自動車株式会社「工場CO2ゼロチャレンジ | 環境にやさしいクルマづくり」
キリングループ
キリングループは、1997年の「気候変動枠組条約第3回締約国会議」で、環境対策について世界に発信した日本企業2社のうちの1社です。現在は2050年までに「自然エネルギー100%」を目指し、太陽光やバイオエネルギー、水力、風力を組み合わせて活用しています。
キリングループ傘下の各社は、「キリンビール」の国内9工場をはじめ、「メルシャン」「協和キリン」「協和発酵バイオ」の各工場で大規模太陽光発電設備を導入済みです。
これにより、メルシャン藤沢工場では年間約124トン、協和キリン宇部工場では年間約1,029トンのCO2排出量の削減が見込まれています。
引用:キリンホールディングス「気候変動の取り組み」
自治体の導入事例
各自治体も、地域特性を活かしつつ再エネの導入を進めています。ここでは「北海道 苫前町」「沖縄県 宮古島市」の取り組み事例を見ていきましょう。
北海道 苫前町
北海道 苫前町は日本海側に位置する特性を活かし、1999年から全国に先駆けて風力発電事業を進めています。
2000年には国内初の大規模な「ファーム型風力発電」事業を開始しました。CO2削減量がCO2排出量を上回り、マイナスカーボンを達成している自治体です。
2022年には、大型ファームとしては国内初となる「ユーラス苫前ウインドファーム」の更新工事が完了し、総出力2万キロワット規模で再稼働しました。
2024年には「苫前ウィンビラ発電所」が完了しています。これにより、大型風車8基に更新され、3万6,000キロワットの総出力を維持することに成功しました。
沖縄県 宮古島市
沖縄県 宮古島市は、2023年11月に環境省から「脱炭素先行地域」に選定され、「脱炭素エコアイランド宮古島」をテーマに脱炭素化に向けて取り組んでいます。
宮古島内の先行エリアでは、地域住民の初期投資負担ゼロ(PPA方式)で太陽光発電と蓄電池の導入が進められています。これにより、再エネによって地域内の電力を100%まかなうことを目指しているのです。
引用:沖縄県 宮古島市「宮古島市脱炭素先行地域」
宮古島は民間企業と連携して太陽光発電・蓄電池設備の設置を進めた結果、2021年度末までに島内700か所でこれらの設備の導入が完了しました。
台風による停電が多い宮古島ですが、太陽光発電と蓄電池によって停電時でも電気供給が可能となります。2021年に最大3日間の停電が発生した時も、全ての導入世帯で普段通りの生活ができたといわれています。
引用:資源エネルギー庁「宮古島の再エネサービスプロバイダ事業」
家庭での導入状況
各家庭でも再エネの普及が進んでいます。環境省の調査によると、2021年時点で太陽光発電を使用している世帯は全国で6.3%でした。
地方別に見ると以下の表のようになっており、特に東海や四国、九州で10%を超える高い導入率となっています。
地方 | 太陽光発電システムの使用率 |
東海 | 11.2% |
四国 | 10.7% |
九州 | 10.4% |
中国 | 8.3% |
東北 | 7.3% |
近畿 | 5.4% |
沖縄 | 4.6% |
関東甲信 | 4.4% |
北陸 | 3.1% |
北海道 | 1.1% |
全国 | 6.3% |
近年では「PPA方式」で太陽光発電を導入する家庭も増えています。PPA方式とは、エネルギーサービス事業者と契約し、初期費用とメンテナンス費用ゼロで太陽光発電設備を設置できるシステムです。
また、太陽光発電で余った電気は電力会社に売ることも可能で、毎月の売電収入を得ることができます。

世界の再生可能エネルギー事例

世界各国でもさまざまな形で再エネの活用が進んでいます。ここでは、各国の政策と実績、グローバル企業の事例をご紹介します。
各国の再エネ政策と実績
日本のみならず、多くの国では国をあげて再エネの導入を推進しています。例えば、ドイツは「エネルギー改革(Energiewende)」政策を掲げ、2024年第1四半期には総電力消費量に占める再エネの割合が約55.6%に達しました。
引用:ジェトロ(日本貿易振興機構)「2024年第1四半期の発電電力に占める再エネ比率は約56%に」
EU加盟国のうち、2024年時点で再エネ導入が最も進んでいるのはデンマークで、総発電量に占める再エネ率が88.4%に上っています。
引用:ジェトロ(日本貿易振興機構):「2024年の総発電量に占める再エネ比率は46.9%」
そして、再エネ発電導入容量の世界1位となっているのが中国です。2022年の中国の再エネ発電導入容量は1,250ギガワットで、2位のアメリカ(400ギガワット)と3倍以上の差を付けています。
中国は太陽光発電導入容量も世界1位で、2022年の実績で429ギガワットを記録しています。こちらも2位のアメリカ(140ギガワット)と比べて3倍以上とぶっちぎりです。
グローバル企業の取り組み事例
多くのグローバル企業も再エネの導入に注力しています。世界的IT企業のGoogleは2017年、Appleは2018年に、それぞれ世界中で消費する電力の100%を再エネでまかなうことに成功しました。
アパレル企業のH&Mは2016年時点で、自社運営のグローバルでの事業活動(スコープ1とスコープ2)における再エネ比率96%を達成しています。同社は、環境保護団体Stand.earthが発表した2023年の「化石燃料を使用しないファッション」ランキングでトップに輝きました。

まとめ

世界中で再エネへの切り替えが進む昨今、日本の企業や自治体で積極的に再エネ導入が進められているほか、世界各国も政府の主導で再エネの活用を推進しています。
また、家庭単位では太陽光発電システムと蓄電池を設置し、再エネに切り替えるケースが増えています。今回ご紹介した事例を参考に、ぜひ再エネの導入を成功させてください。
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