2023年4月1日から、電気を送電する託送料金の新しい仕組みである「レベニューキャップ制度」が開始されました。
この制度によって電気料金が値上げされるなど、私たち消費者に与える影響が懸念されています。しかし、長期的に見れば電力コストを抑えられる可能性があります。
このコラムでは、レベニューキャップ制度の仕組みや電力料金への影響、値上げへの対策法を解説します。電気料金の変化に備えて、太陽光発電などのシステムも賢く活用しましょう。
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託送料金とは?

レベニューキャップ制度のことを知るためには、まず、託送料金について知っておく必要があります。託送料金とは、端的にいえば「送配電にかかる設備の利用料」のことです。
発電所で発電した電気は、鉄塔や送電線などの送電設備、電柱や配電線などの配電設備を通り、各家庭や企業などに届けられます。
託送料金は、この送配電ネットワークを整備・維持するために使用されています。託送料金は、毎月の電気料金に含まれて集金されており、電気料金の約30%を占めています。
引用:経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会「電気の託送料金とレベニューキャップ制度」
レベニューキャップ制度の概要

ここからは、2023年4月に始まったレベニューキャップ制度の概要を見ていきましょう。
レベニューキャップ制度が開始される背景
上にご紹介した総括原価方式では一定の利益が保証されているため、電気事業者としては「経営効率化を進めても利益が増えない」「コストカットをしてもあまり意味がない」といった課題がありました。
また、昨今の電力業界は転換期を迎えています。再生可能エネルギーの導入が求められ、老朽化した設備の改修も必要になるなど、電気事業者は多くの課題を抱えているのです。これらの課題に対応するためには相応のコストが必要となります。
そこで、消費者の負担を抑えながら、電気事業者のコスト増加に対応できる策として「レベニューキャップ制度」が始まりました。
レベニューキャップ制度は総括原価方式と異なり、電気事業者が経営効率化やコストカットを進めれば、その分の利益を得られる仕組みになっています。
レベニューキャップ制度の仕組み
ここからは、レベニューキャップ制度の具体的な仕組みを見ていきましょう。
レベニューキャップ制度では、一般送配電事業者が5年分の事業計画を作成し、その実行に必要な費用(レベニューキャップ)を経済産業省のいち組織である電力・ガス取引監視藤委員会が審査します。電気事業者がその計画を実行した後、国が達成状況を評価します。
委員会から承認を受けた計画の範囲内でなら、事業者は柔軟に託送料金を設定することができます。また、企業努力によってコストを削減すれば、その分が事業者の利益となります。
ただし、提出した目標を達成できなかった場合、ペナルティが課されることもあります。ペナルティの内容は「翌期の収入上限の引き下げ」です。ペナルティを課すことによって、事業者に対し、積極的に効率化やコストカットを進めさせる狙いがあるといわれています。
引用:経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会「電気の託送料金とレベニューキャップ制度」

レベニューキャップ制度の影響

レベニューキャップ制度の導入は、消費者にどのような影響を与えるのでしょうか。電気は毎日欠かさず利用するものだからこそ、その影響を理解しておきましょう。
消費者負担が軽減される
レベニューキャップ制度の開始によって、一般送配電事業者のコスト効率化が促進されました。その利益は最終的に消費者に還元され、電気料金の負担軽減につながります。
レベニューキャップ制度では5年ごとに事業計画が見直されるため、次回の事業計画の提出・承認は2028年4月です。それまでに事業者のコスト効率化が成功していれば、電気料金が下がる可能性もあります。
ただし、現在のところ託送料金は値上げされており、すぐにはレベニューキャップ制度の恩恵を受けられないでしょう。
設備投資の費用を確保できる
予期せぬ自然災害などによって、突発的にコストがかさんでしまうことも考えられます。
その場合、一般送配電事業者は翌期の収入上限を見直すことも可能です。これにより、事業者は必要な設備投資をしやすくなります。
この制度によって、自然災害などが発生した時も、消費者の負担を抑えつつ事業者も守ることができます。
電気料金値上げへの対策法

レベニューキャップ制度の開始によって、長期的に見れば電気料金が下がる可能性があるものの、現在のところ託送料金は値上げされています。そこで、電気料金の値上げに対応する方法をご紹介します。
省エネ家電に買い替える
省エネ性能の高い家電製品に切り替えることで、電気使用量を抑えられ、電気料金の負担を軽減させることができます。
例えば、蛍光灯からLED照明に切り替えたり、エコを打ち出した家電製品に買い替えるなどは身近で実行しやすい対策の一つです。特に省エネ性能が高い製品には「省エネラベル」が付けられているので、選ぶ際の参考にしてください。
太陽光発電や蓄電池を導入する
太陽光発電システムや蓄電池を家庭に設置すると、自宅で作った電気を自宅で使うことができ、電気料金が抑えられます。さらに、余った電気は電力会社に売ることができ、売電収入を得ることも可能です。
ある程度の初期投資が必要となりますが、長期的に見れば電気代を抑えることにつながります。

まとめ

送配電にかかる設備の利用料である託送料金のシステムが見直され、2023年4月からレベニューキャップ制度が始まりました。この制度によって、一般送配電事業者は自由に託送料金を設定できるようになり、将来的に電気料金が値下げする可能性もあります。
ただし、現在のところ託送料金は値上がりしており、消費者の電気料金負担も増えています。電気料金の値上げに対応するためには、省エネ家電への買い替えや家庭用蓄電池や太陽光発電システムの導入といった対策が有効です。
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