再生可能エネルギーへの関心が高まる中、政府も太陽光発電などの導入を支援するさまざまな制度を整えています。
その一つが2011年に制定された「グリーン投資減税」でしたが、こちらは2018年に廃止されてしまいました。しかし、これに代わる制度として「中小企業経営強化税制」など新しい制度も開始されています。
このコラムでは、かつてのグリーン投資減税の概要を振り返り、現在の中小企業経営強化税制やその他の代替制度についてご紹介します。これらの制度を活用し、お得に再エネを導入しましょう。
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グリーン投資減税の基本概要

グリーン投資減税(エネルギー環境負荷低減推進税制)は、再生可能エネルギーの導入促進を目的として、2011年に制定された税制優遇措置です。まずはグリーン投資減税について、詳しく見ていきましょう。
グリーン投資減税の目的と背景
グリーン投資減税が開始される大きなきっかけとなったのは、2011年3月11日に発生した東日本大震災です。
この時、福島第一原子力発電所で事故が発生したことから、脱原発と再エネへの注目が一気に高まりました。
また2000年代から2010年代にかけて、再エネ技術開発や導入の取り組みが世界各国で拡大していきました。日本においても、再エネの普及は重要な課題となっていたのです。
こうした背景から、震災と同じ2011年の法改正でグリーン投資減税が制定されました。
グリーン投資減税の概要
グリーン投資減税の対象となっていたのは、青色申告書を提出する個人・法人のうち、特定の設備を取得した上で、1年以内に事業に活用した者です。対象設備には、以下のような再エネ発電設備が含まれていました。
太陽光発電設備
風力発電設備
中小水力発電設備
地熱発電設備
下水熱利用設備
バイオマス利用装置
引用:資源エネルギー庁「グリーン投資減税 対象設備一覧」
これらの設備を事業で使用すると、以下の税制上の優遇を受けることができました。
特別償却2016年4月1日〜2018年3月31日の間に設備を取得し、1年以内に事業用として利用した場合、事業年度において基準取得価額の30%の特別償却をすることができました。
税額控除中小企業者の場合、①の特別償却に追加で、基準取得価額の7%の税額控除を受けることができました(法人税(個人の場合は事業所得にかかる所得税)の額の20%が限度)
引用:資源エネルギー庁「グリーン投資減税 概要と対象者」
こうした優遇措置によって、再エネ発電設備の導入コストを実質的に抑えることができたのです。
グリーン投資減税の廃止
多くの法人や個人が利用したグリーン投資減税ですが、もともと制定当初から2018年3月31日を期限としていました。
そんな中、さらなる制度の拡大や支援の充実を目指し、税制優遇制度についても「大幅な見直しを加える必要がある」と判断されたことから、延長はせず当初の期限通り終了となったのです。
その代わりとして、2018年4月1日には新たに「省エネ再エネ高度化投資促進税制」が創設されましたが、こちらも2021年3月31日をもって廃止されています。
ただし、現在でも他の税制優遇制度はありますので、再エネ設備を導入する場合に利用することができます。

グリーン投資減税の代替となる「中小企業経営強化税制」

現在、グリーン投資減税は廃止されたものの、再エネの導入時に利用できる制度として、「中小企業経営強化税制」が開始されています。ここでは中小企業経営強化税制について詳しく解説します。
中小企業経営強化税制とは
中小企業経営強化税制は、中小企業が新たな設備を導入した際に利用できる税制優遇制度です。当初は2019年度に終了予定でしたが、現在では2027年3月31日まで延長されています。
青色申告書を提出する中小企業者等が、2017年4月1日から2027年3月31日までの期間に、対象となる設備を導入して事業に利用した場合、即時償却または税額控除の対象となります。
即時償却の場合は、太陽光発電などの取得費用の全額を経費計上できるため、設備を導入した初年度に大きな節税効果を得られます。
税額控除の場合は、控除額は企業の資本金によって以下のように区別されます。
資本金3,000万円未満の企業:取得価額の10%
資本金3,000万円超の企業:取得価額の7%
控除の上限額は、その年度の法人税額・所得額の20%となります。
中小企業経営強化税制の対象設備と区分
中小企業経営強化税制の対象となる設備は、以下のように区別されています。
類型 | 要件 | 対象設備 |
生産性向上設備 (A類型) | 生産性が旧モデル比平均1%以上向上する設備 | 機械装置(160万円以上) 工具(30万円以上) 器具備品(30万円以上) 建物附属設備(60万円以上) ソフトウェア(70万円以上) |
収益力強化設備 (B類型) | 投資収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備 | |
経営資源集約化設備 (D類型) | 修正ROAまたは有形固定資産回転率が一定割合以上の投資計画に係る設備 |
引用:中小企業庁「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き」
太陽光発電設備を導入した場合は、「A類型」または「B類型」で申請することができます。
その他の税制優遇や補助金制度

中小企業経営強化税制のほかにも、再エネ設備の導入コストを抑えられる制度が存在します。以下の制度のうち、条件が合うものを利用してください。
カーボンニュートラル投資促進税制
2021年に制定された「カーボンニュートラル投資促進税制」は、脱炭素化を推進する設備を導入した企業が、税額控除または特別償却の税制優遇を受けられる制度です。
この優遇を受けたい企業は、排出削減効果を示す「炭素生産性」を計算する必要があります。この炭素生産性を、3年以内に15%以上(中小企業者などの場合は10%以上)向上させる計画を作成して申請しましょう。
引用:資源エネルギー庁「中小企業の脱炭素化投資を後押し!カーボンニュートラル投資促進税制がリニューアル」
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金
「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」は、太陽光発電設備や蓄電池を導入した民間企業や非営利法人、地方公共団体に対し、補助金を交付する制度です。
対象者や事業形態によって区分が分かれており、営利法人や青色申告をおこなっている個人事業主が対象となるのは第6号事業の「再生可能エネルギー事業者支援事業費」です。
太陽光発電設備を導入した場合は、補助対象経費の3分の1の金額が補助されます(上限:中小企業などは7万円/kW、それ以外の営利法人は6万円/kW。税抜きで計算)。
引用:公益財団法人日本環境協会「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 事業概要」

まとめ

法人や個人が再エネ設備を導入した際、特別償却や税額控除を受けることができる制度が「グリーン投資減税」です。
この制度は2018年で終了していますが、現在では「中小企業経営強化税制」など、新たな制度が実施されています。これらの制度を活用して、コストを抑えつつ太陽光発電や蓄電池を導入しましょう。
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