太陽光発電には点検義務がある!頻度とタイミング・方法を解説

太陽光発電システムを導入すると、環境への貢献や電気代の削減といった多くのメリットが得られます。しかし、発電効率を維持し、安全に運用し続けるためには適切な点検とメンテナンスが欠かせません。
特に近年の法改正により点検義務が明確化され、定期的なメンテナンスの重要性がますます高まっています。
本コラムでは、太陽光発電の点検義務に関する法的背景や、適切な点検頻度などを詳しく解説しますので、太陽光発電を長期間安全に活用するためにも、ぜひ最後までお読みください。
太陽光発電の点検義務と法的背景

まずは、太陽光発電の点検義務の概要と法律について、わかりやすく解説します。
太陽光発電の点検義務化の概要
太陽光発電の点検義務化は、2017年に施行された改正FIT法(再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法)に起因します。この法改正により、それまで義務化されていなかった50kWh未満の家庭用太陽光発電設備についても、定期的な点検が求められるようになりました。
法改正の目的は、急速に普及が進む太陽光発電設備の安全性と効率性を確保することです。太陽光発電システムの適切な維持管理が十分におこなわれないことで、機器故障や火災事故が発生するリスクがあるため、点検が義務付けられました。
また、点検そのものが複雑化しているわけではなく、多くは目視点検や発電量の記録など簡単なものです。太陽光発電を設置する場合、これらの点検を継続的におこなう法的な義務があることを覚えておきましょう。
※参考:一般社団法人日本電機工業会|住宅用太陽光発電システムをお使いの皆さまへ
点検を怠った場合のペナルティ
太陽光発電システムの点検を怠ると、法的なペナルティを受ける可能性があります。
適切に点検されていない場合、管轄当局より助言もしくは指導が入るか、改善命令が下される他、最悪の場合はFIT売電の認定を取り消される場合があります。
この認定取消がなされれば、売電収入を続けることができなくなるので注意しましょう。
また、点検をおこなわず不具合を放置すると、結果的に修理費用がかさむケースも少なくありません。
一部では太陽光パネルの破損が原因で火災が発生し、近隣住宅に被害を及ぼす事例も報告されています。そのような事態を防ぐためにも、定期的な点検を欠かさないようにしましょう。
※参考:資源エネルギー庁|事業計画策定ガイドライン
点検記録の重要性
点検義務において重要視されるのが、点検記録の保存です。この記録は点検義務を果たしていることを証明する資料となります。記録は設置者ではなく、点検を依頼する業者が行いますが、設置者が記録の書類を管理しなければいけません。
例えば、点検記録を無くしてしまうと、問題が発生した際に適切な対応が取れない可能性があります。
しかし、記録がすぐ参照できる状態なら、発電量が低下したときや発電システムにトラブルが見つかったとき、原因を迅速に特定することが可能です。
なお、業者が行う点検では、太陽光パネル、パワーコンディショナー、接続箱、配線、架台などの破損・端子の確認や汚れの洗浄、計器を用いた数値測定などを行います。
記録は「点検報告書」といった形で、次の情報をまとめて記載します。
- 当該システムを説明する概要情報(名称、住所など)
- 検査及び試験を実施した回路及び設備のリスト
- 点検記録
- 試験を実施した回路毎の試験結果の記録
- 当該点検を実施した責任者の署名
※引用:一般社団法人日本電機工業会・太陽光発電協会|太陽光発電システム保守点検ガイドライン
太陽光発電の点検頻度とタイミング

実は太陽光発電の点検は、適切な頻度がありメーカーや業者が推奨している頻度でおこなう必要があります。ここでは、点検の頻度や時期についてご紹介します。
定期点検の頻度
家庭用太陽光発電システムの点検頻度はシステムの環境、メーカーの保証期間、設置場所の条件などによって異なります。改正FIT法では、初回は設置から1年後に、その後は4年に1回頻度での点検が推奨されています。
ただし、風砂や雪が多い地域、塩害がある沿岸などの厳しい気象条件下では、より頻繁な点検が必要となることもあります。適切な点検頻度を判断するためには、メーカーが提供するガイドラインを参照するほか、設置業者に相談して点検頻度を決めましょう。
※参考:一般社団法人日本電機工業会・太陽光発電協会|太陽光発電システム保守点検ガイドライン
台風や大雪後の特別点検
台風、大雪、地震などの自然災害が発生した後は、通常の定期点検とは別に特別点検をおこなう必要があります。こうした災害は、太陽光発電パネルがひび割れるなど予期せぬ損傷を与える可能性が高いためです。
例えば、台風の際には強風で飛んできた物体により、太陽光パネルや架台が破損することもあります。
また、大雪の場合は積雪による重みで設備が損壊したり、配線に影響が生じることが考えられます。速やかに点検を実施することで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
自分でできる太陽光発電の点検方法
業者が行う定期点検の内容は、個人でおこなうことができません。しかし、簡単な目視点検は個人でも行うことが可能です。普段とは違う異常が発見できる場合もあるため、個人でも日常的におこなうことが推奨されています。
ここからは、自分でできる太陽光発電の点検方法とポイントをご紹介します。
太陽光パネルの目視点検ポイント
太陽光パネルは、天候や外的要因による影響を受けやすいため、目視での確認が欠かせません。発電効率に影響を及ぼす可能性があるポイントは次のとおりです。
- 太陽光パネルの破損
- 汚れ・鳥のフンなど
- 落下物(落ち葉や洗濯物)
- 架台や固定具の緩み
- 設備に目立つサビ
その他設備の点検ポイント
太陽光発電システムはパネルの他にもパワーコンディショナーや接続箱といった設備があります。これらも可能な限り日常的に目視点検しておきましょう。注視すべきポイントは次のとおりです。
- パワーコンディショナーの破損・腐食
- 接続箱・集電箱・電力量計などの破損・腐食
- 配線・接続ケーブルの破損
- 通気孔・換気フィルタが塞がってないか
- モニターの表示(エラーコードの有無)
- 異常音
発電量のチェック
発電量の低下は、太陽光発電システムに異常があるサインかもしれません。モニターやスマートメーターを活用し、日々の発電量に変動がないかも把握しておきましょう。
もし発電量が急激に減少した場合、配線の接触不良や太陽光パネルの破損が原因である可能性があります。このような事態では、専門の業者に相談し、適切な対策を講じましょう。
また、チェックの際には発電量を記録しておくことで、長期間にわたる数値の変動を分析できるため、劣化や故障を早期に発見しやすくなるのでおすすめです。
日常の発電量チェックを怠らず、異常があれば速やかに対応することが、発電システムの長寿命化につながります。
太陽光発電設備の点検に関する注意点

太陽光発電設備には欠かせない点検ですが、その際はいくつか注意しておきたいポイントがあります。事故やトラブルを避けるためにも、確認しておきましょう。
個人で設備に触れる点検はできない
太陽光発電設備に直接触れる必要がある点検は、電気工事士という国家資格を持った技術者でなければ対応できないと法律で定められています。
太陽光発電設備は高電圧を扱うため、個人が直接太陽光パネルや配線に触れて点検することは非常に危険です。また、そもそも屋根に登ること自体もリスクを伴います。
感電や転落などのリスクがあるため、設備に触れる点検は決して個人でおこなわないようにしましょう。必ず専門の施工業者に依頼してください。
点検依頼に必要な書類を揃える
定期点検を業者に依頼する際は、スムーズな対応のために太陽光パネルのレイアウト図や保証書、取扱説明書、過去の点検記録(業者記録)などを手元に用意しておくことが大切です。
これらの書類があれば、業者がトラブルの原因特定や修理内容の確認が迅速におこなえます。
特にメーカー保証を適用する際には保証書の提示が必須となるケースが多いため、保管場所を把握しておきましょう。
設備トラブルはメーカー保証を確認する
発電量の急激な低下やパワーコンディショナーの異常など、設備にトラブルが発生した場合は、まずメーカー保証の有無と内容を確認しましょう。
製品保証や出力保証が期限切れになっていなければ、無償修理や交換が受けられる可能性があります。
また、メーカーによっては自然災害補償があるので確認が必要です。補償(保証)期間や対象範囲はメーカーによって異なるため、契約書や保証書を確認し、必要に応じてサポート窓口に連絡しましょう。
まとめ

2017年のFIT法改正以降、家庭向け太陽光発電システムで点検・メンテナンスが義務化されたのは、安全かつ効率的な運用には点検が必要不可欠なためです。
太陽光発電は点検・メンテナンスを怠ると、発電効率の低下や修理費用の増加だけではなく、機器の落下による人身事故、火災にまで発展してしまいます。安全のためにも業者に依頼して正しい頻度での点検や、大規模な台風・降雪の後の点検まで気を配るようにしましょう。
また、個人では目視確認を日常的におこない、汚れや発電量の変化などから異常を早期に発見できるよう努めてください。太陽光発電を最大限に活かすためにも、適切な点検を継続し、設備の健康状態を保ちましょう。
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