平屋に太陽光発電は向いている?メリット・デメリットと設置のポイント

平屋の特性を活かすことで、太陽光発電の効果を最大限に引き出すことができるため、平屋に住んでいる方で、太陽光発電の導入を検討するご家庭は多いです。
本コラムでは、平屋に太陽光発電を導入するメリットやデメリット、設置のポイントについて詳しく解説します。太陽光発電でエコな暮らしを目指したい方はぜひ参考にしてください。
平屋に太陽光発電を導入するメリット

平屋で太陽光発電を導入することには、多くのメリットがあります。
屋根の面積が広く多くの太陽光パネルを設置できる
平屋は2階建て以上の住宅に比べて、同じ延べ床面積でも屋根の面積が広いため、平屋なら多くの太陽光パネルを設置できます。
設置する太陽光パネルの枚数が増えれば、その分発電量を増やせます。広い屋根を有効活用できるのは、平屋の大きなメリットです。
屋根の傾斜が緩やかでメンテナンスがしやすい
平屋の屋根は傾斜が緩やかなため、太陽光発電のメンテナンスがしやすいというメリットがあります。2階建ての場合は通常、メンテナンスの際に足場を組まなければいけません。その際には約10~20万円ほどの足場代が別途かかることになります。
しかし、平屋は足場を組む必要がないため、メンテナンスで必要になる足場組立のコストを削減できます。
平屋に太陽光発電を設置するデメリットと注意点

平屋に太陽光発電を導入する際には、注意すべきデメリットも存在します。事前にデメリットも理解したうえで、太陽光発電の導入を検討しましょう。
建物や樹木の影響を受けやすい
平屋は建物の高さが低いため、周囲の高い建物や樹木からの影響を受けやすいです。
太陽光パネルは全体が日光を受けることで最大限の発電をおこなうため、もし太陽光パネルに影がかかる場合は発電効率が低下してしまうリスクがあります。
特に都市部では隣接する建物が近接している場合が多いため、設置には注意が必要です。
設置できる太陽光パネルの種類が限られる
平屋の屋根材や構造によっては、希望する太陽光発電を設置できない可能性があります。
たとえば瓦屋根や特殊な形状の屋根は、対応する太陽光パネルや取り付け金具が限られているためです。
こういった素材は選択肢が減少するだけでなく、コストが増加する可能性もあります。
発電量を最大化するために角度調整が必要
屋根の傾斜が比較的緩やかな平屋では、太陽光パネルの角度調整が必要になる場合があります。
最適な傾斜角度は地域や緯度によって異なりますが、一般的には20〜30度が理想です。
屋根の傾斜が20度未満の場合は、角度調整に専用架台の追加が必要になり、設置コストが増加する可能性があります。
初期費用が高額になりがち
屋根の面積が広いからと、多くの太陽光パネルを設置すると初期費用が高額になる傾向があります。
経済産業省が2024年にまとめたデータによれば、太陽光発電システム導入にかかった初期費用は新築案件・既築案件ともに1kWあたり28万円程度となっていました。
たとえば4kW~5kWの太陽光発電システムを導入したい場合、単純計算で112万円~140万円程度の初期費用がかかる計算になります。
※参考:経済産業省|令和6年度以降の調達価格等に関する意見 調達価格等算定委員会
発電量を最大化!平屋での太陽光パネルの最適な配置方法

平屋で太陽光発電の効果を最大限に引き出すためには、太陽光パネルの配置方法が重要です。ここからは発電量を最大化するためのポイントをご紹介します。
南向きに設置することで発電効率を最大化
太陽光パネルは南向きに設置することで、一日を通して多くの日射量を受けることができます。日射量が多い方角に太陽光パネルを設置できれば、発電効率の向上につながるでしょう。
JPEA太陽光発電協会によれば、南向きの発電出力が100%であるのに対し、西や東は発電出力が約83%、北は約62%になることがわかっています。この出力差を考えても、可能な限り南向きに太陽光パネルを配置することが理想的です。
※参考:JPEA太陽光発電協会|設置方位や設置角度の影響はありますか?
影を考慮し太陽光パネルの配置を最適化
周囲の建物や樹木からの影の影響を最小限に抑えるため、太陽光パネルの配置を工夫する必要があります。
影がかかる時間帯や季節を考慮したシミュレーションをおこない最適な配置をみつけましょう。また、近年では、影の影響を受けにくい太陽光パネルやシステムも開発されており、それらを活用することも選択肢の1つです。
屋根の傾斜角度を適切に調整する
発電効率を向上させるため、屋根の傾斜角度を適切に調整することも重要です。
一般的には屋根の角度は20〜30度が理想とされており、この角度に合わせて架台を設置することで最適化が可能です。なお、架台の設置には追加費用が発生しますが、長期的な発電量の増加を考慮すると有益な投資といえます。
パワーコンディショナーを適切に配置する
パワーコンディショナーは、太陽光パネルで発電した直流電力を家庭で使える交流電力に変換する装置です。実は、このパワーコンディショナーの配置や性能も、発電効率に影響を与えます。
発電した電力を効率的に変換するためには、適切な場所に設置し、配線距離を短くする必要があります。最新のパワーコンディショナーは変換効率が高く、95%以上のものもあるため、導入時には性能もしっかり確認しましょう。
なお、パワーコンディショナーは機器の温度上昇が苦手です。高温になりやすい場所や直射日光があたる場所は避け、風通しがよい場所に設置してください。熱がこもらないよう周囲の設置物や壁とも少し距離を置いて設置するのが理想です。
また、設置場所は次のような場所が一般的です。
パワーコンディショナー | 設置場所 |
屋外用 | 洗面所・玄関近くの壁面・車庫内など |
屋内用 | 洗面所に近い建物の外壁もしくは架台などに設置 |
平屋に太陽光発電を導入する際の費用と補助金情報

太陽光発電システムの導入には初期費用がかかりますが、各種補助金を活用することで費用の負担を軽減できます。ここでは、費用の相場と補助金情報について解説します。
一般的な設置費用の相場|容量別価格比較
太陽光発電の容量別の費用相場は次のとおりです。
太陽光発電の容量 | 設置費用の相場 |
3kW | 86万円~ |
4kW~5kW | 120万円~150万円 |
6kW~7kw | 140万円~200万円 |
なお、家庭向けの太陽光発電システムで最も選ばれる容量は3kW〜5kWです。3kW〜5kWの場合、設置費用の相場は86万円〜150万円程度となっています。(2025年時点)
前述のとおり、太陽光発電はメーカーや太陽光パネルの性能によって価格が前後するので、あらかじめ留意しておきましょう。
国の補助金制度|ZEH補助金など
2025年6月現在、国の補助金制度で太陽光発電に利用できるものは、次のとおりです。
対象設備 | 補助金制度例(2025年度) |
太陽光発電設備 | ZEH支援事業(ZEH補助金) 新築戸建住宅を建築・購入:55万円~90万円/戸 |
蓄電池 | ZEH支援事業(ZEH補助金) 追加設備等による加算:上限20万円 DR補助金 1申請あたり60万円(補助上限額) |
近年、国では再生可能エネルギーの普及促進を目的として、様々な補助金制度を設けています。最新の情報は、経済産業省の公式サイトなどで確認しましょう。
※参考:一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和7年度ZEH補助金」
※参考:一般社団法人環境共創イニシアチブ「DR家庭用蓄電池事業」
地方自治体の補助金の活用
地方自治体でも、独自の補助金制度を設けている場合があります。補助金額は自治体によって大きく異なりますが、国の補助金と併用できるケースも多いので要件を確認しておきましょう。
本コラムでは東京都と愛知県の補助金情報を抜粋しているので、参考にしてください。
対象設備 | 補助金制度例(2025年度) |
太陽光発電設備 | 【東京都】家庭における太陽光発電導入促進事業 ・3.6kW以下:12万円/kW(上限36万円) ・3.6kW超:10万円/kW(50kW未満) |
【愛知県】住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金 一体的導入(市町村ごとの協調補助額・導入設備により異なる) 【名古屋市】住宅等の脱炭素化促進補助 戸建て:1kWあたり1万円~3万円(築年数により異なる) | |
蓄電池 | 【東京都】家庭における蓄電池導入促進事業 12万円/kWh(新規) 8万円/kWh(増設) |
【愛知県】住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金 蓄電池:1kWhあたり15万円など 【名古屋市】住宅等の脱炭素化促進補助 1kWhあたり15,000円 | |
HEMS | 【東京都江東区】江東区地球温暖化防止設備導入助成事業 設置経費の5%(1設備あたり2万円) |
【愛知県】住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金 一体的導入(市町村ごとの協調補助額・導入設備により異なる) 【名古屋市】住宅等の脱炭素化促進補助 1件あたり1万円 |
※参考:東京都|「令和7年度 家庭における太陽光発電導入促進事業・災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」
※参考:東京都|「令和7年度 家庭における蓄電池導入促進事業」
※参考:愛知県|「愛知県住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金(市町村との協調補助)」
※参考:名古屋市|「令和7年度 住宅等の脱炭素化促進補助(暮らしの情報)」
※参考:江東区|「(個人住宅用・集合住宅用)地球温暖化防止設備導入助成」
補助金申請の流れ
補助金の申請には所定の手続きが必要になります。一般的な流れは、次のとおりです。
- 業者を選ぶ
- 申請書類を提出する
- 交付決定通知書が届く
- 工事を開始する
- 実績報告書を提出する
- 補助金が入金される
なお、補助金の多くは申請期間や募集枠に限りがあるため、早めの申し込みが必要になります。申請手続きは複雑になりがちなので、専門業者のアドバイスを受けながら進めるのがおすすめです。
エコまるでは、補助金の申請代行も可能です。太陽光発電や蓄電池の導入を検討している方は、ぜひ問い合わせてみてください。
まとめ

平屋は太陽光発電を導入することで2階建てなどの住宅に比べ、多くのメリットがあります。特に屋根の広さを活かして発電量を増やせる可能性があるため、再生可能エネルギーをフル活用した生活も期待できます。
一方で平屋は建物などの影の影響も受けやすいため、日当たりがよい環境であるか確認が必要です。また、太陽光発電における高い初期費用といったデメリットもあります。
発電量を最大化するための配置や、費用を抑えるための補助金制度の活用など、適切な対策を講じて、効果的な太陽光発電システムを導入しましょう。
エコまるは、平屋への太陽光発電システムの導入実績も多数あります。効率的な設置方法の提案もおこなっているので、お悩みの方はぜひ一度ご相談ください。