太陽光発電のシミュレーション方法は?発電量と売電収入・おすすめ無料ツールも解説

太陽光発電を導入する際、発電量や売電収入のシミュレーションをおこなうことで、費用対効果を事前に確認できます。
また、シミュレーションを活用することで、最適な設置場所や発電量の見込み、収益の予測が可能になり、後悔のない投資を実現することが可能です。
このコラムでは、太陽光発電のシミュレーションの目的や方法、無料で利用できるシミュレーションツールを紹介し、シミュレーション結果の活用方法についても詳しく解説します。
太陽光発電のシミュレーションとは?目的と重要性

太陽光発電のシミュレーションとは、設置予定の環境や条件をもとに、発電量や売電収入を試算することです。
最適なシステム設計をして導入後の経済効果を把握するために、シミュレーションをおこなうことは非常に重要です。ここでは、太陽光発電のシミュレーションの主な目的と重要性について解説します。
発電量と収益の事前予測が可能
太陽光発電シミュレーションの最も大きな目的は、導入前に発電量と収益を予測することです。
太陽光パネルがどれくらいの電力を発電するのかを事前にシミュレーションすることで、どれくらいの売電収入や買電電気代削減効果が得られるのかを具体的に把握できます。
また、天候や立地条件による発電量と収益も把握することで、導入後の「思ったより発電しない」「期待したほど光熱費が安くならない」といった事態を避けることが可能です。
設置場所の条件に応じた最適なプラン選び
太陽光パネルは、屋根の向き・角度・周囲の環境によって発電量が左右されます。シミュレーションを活用すれば、最適な太陽光パネルの種類や設置方法を選ぶことが可能です。
たとえば、南面の屋根が最も発電に適しているとされていますが、東西面の屋根でも設置方法を工夫することで十分な発電量を得られる場合もあり、屋根の面積や形状、日陰になる時間帯などを考慮し具体的なシミュレーションをおこなうことで、最適なパネルの種類や枚数、配置方法もみえてきます。
導入コストと回収期間を把握できる
太陽光発電システムの導入には、初期費用がかかります。
シミュレーションをおこなうことで、導入にかかるコストと、それを何年で回収できるのかを把握することができます。売電収入だけでなく、買電電気代の削減効果も考慮しましょう。
例えば、初期費用が約200万円で、年間の経済効果が約20万円とシミュレーションされた場合、単純計算で10年間で初期費用を回収できることになります。このように、導入コストと回収期間を事前に把握することで、長期的な視点で検討できるようになります。

蓄電池や売電プランとの組み合わせを検討
太陽光発電と蓄電池を併用することで、自家消費を増やして買電電気代を削減することが可能です。
昼間に発電した電力を蓄電池にためて夜間に使用し、余った電力は売電するなど、ご自身のライフスタイルに合った方法を検討できます。
また、電力会社によって太陽光発電の余剰電力の買取価格が異なります。最適な売電プランとの組み合わせを選ぶのにもシミュレーションは有効です。
太陽光発電の発電量をシミュレーションする方法

太陽光発電の導入を検討する際、自宅でどれくらいの発電量が見込まれるのかを事前にシミュレーションすることは非常に重要です。
発電量のシミュレーションをおこなう際には、日射量や太陽光パネルの種類、設置環境などの要素を考慮する必要があります。
日射量データを活用した予測方法
発電量は日射量に大きく依存しますが、日射量は地域・季節・時間帯によって異なります。
このため、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が提供しているデータを活用してシミュレーションします。
年間の発電電力量は、一般的に以下のようにして算出します。
年間発電電力量EPY=PAN×HA×K×365(kWh/年)
PAN:標準状態における太陽電池アレイ出力(kW)
(標準状態:AM1.5、日射強度1000W/㎡、太陽電池セル温度25℃)
HA:設置場所での日射量(kWh/㎡・日)
K:総合設計係数(温度補正係数、回路損失、機器による損失等で通常は0.7程度)
引用:一般社団法人日本電機工業会(JEMA)「公共用・産業用 太陽光発電システム計画ガイドブック」
標準状態における太陽電池アレイ出力とは、設置する太陽光パネルの合計容量のことです。
総合設計係数はさまざまな係数を掛けあわせて算出しますが、「公共用・産業用 太陽光発電システム計画ガイドブック」で示されている「0.7」を採用してもよいでしょう。
太陽光パネルの種類や設置角度による発電量の違い
シミュレーションでは、使用する太陽光パネルの種類や設置角度による発電量の違いも考慮します。太陽光パネルには「シリコン系」「化合物系」「有機系」などの種類があり、それぞれ発電効率が異なるからです。
また、設置角度や方角によっても発電量が変化するため、最適な条件を考慮することが重要で、シミュレーションではこれらの要素を考慮して、太陽光パネルと設置角度を選定します。
参考:国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)「太陽電池の分類」
影の影響を考慮したシミュレーション
太陽光発電は、太陽光を直接受けることで発電するため、建物や樹木の影が発電量に影響を与えることがあります。影がかかる時間帯や範囲によって、発電量が大きく減少する可能性があるのです。
たとえば、午前中は東側の建物、午後は西側の建物の影になる場合、時間帯ごとの発電量を詳細にシミュレーションすることで、年間の発電量への影響を把握できます。
また、季節によって太陽の高度が変化するため、影の長さや位置も変わります。シミュレーションをおこなう際には、これらの変動する影の影響を考慮し、発電効率が低下しないような設置場所を選ぶことが大切です。
年間・月間・日別の発電量シミュレーション
発電量は年間・月間・日別で予測ができます。
太陽光発電は、季節や天候によって発電量が大きく変動するため、季節ごとの発電量の違いを考慮しながらシミュレーションをおこなうことで、より正確な収益予測が可能です。
夏は日射量が多く発電量が増えますが、梅雨の時期や冬は日射量が少なく、発電量が減少する傾向にあります。
また、朝夕は発電量が少なく、日中が最も多くなるなど、季節だけでなく1日の中でも発電量は変動するため、これらの変動をシミュレーションで把握することで、自家消費の計画や売電量の予測を立てやすくなるでしょう。
売電収入をシミュレーション!収益の予測方法とは?

太陽光発電で作った電気は、自宅で使うだけでなく、余った分を電力会社に売ることが可能で(売電)、売電収入のシミュレーションをおこなうことで、どのくらいの期間で投資回収できるかを確認できます。
FIT(固定価格買取制度)の適用と売電単価
FIT(固定価格買取制度)とは再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定めた価格で一定期間電力会社が買い取ることを義務付ける制度です。
FIT制度を利用すると、決められた売電単価で、一定期間売電することができます。
2025年度の売電価格は1kWhあたり約15円です。この価格を基にシミュレーションをおこないます。
参考:経済産業省エネルギー庁「FIT・FIP制度」

自家消費とのバランスを考慮した計算
発電した電力を売電するだけでなく、自家消費に回すことで電気代を削減する効果も期待できます。
シミュレーションでは、自家消費と売電のバランスを考慮しながら収益を計算します。
たとえば、1ヶ月の総発電量が400kWhで、自家消費量が250kWhだった場合、売電量は150kWhとなり、
売電単価が15円/kWhであれば、150kWh × 15円/kWh = 2,250円が1ヶ月の売電収入といえるでしょう。
このように、自家消費量と売電量のバランスによって、売電収入は大きく変わってきます。
電力会社のプラン別売電収益シミュレーション
電力会社が提供するプランによって売電単価や条件が異なるため、シミュレーションを通じて最適なプランを選ぶことが重要で、それぞれの売電プランを比較し、最も収益性の高いプランを選ぶことで、収益を最大化できます。
また、ライフスタイルや太陽光発電システムの発電量にあわせて最適なプランを選ぶことで、売電収入を最大化することが可能です。
電力会社のウェブサイトなどで提供されているシミュレーションツールも活用して、プラン別の売電収益を比較検討してみましょう。
おすすめの無料シミュレーションツール3選
太陽光発電のシミュレーションを無料でおこなえるツールを紹介します。
NEDOの公式データーベースを使う
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の日射量データベースは、日本全国の詳細な日射量データを無料で提供しており、専門的なシミュレーションに利用できます。
NEDOは、日本のエネルギー技術開発を牽引する公的機関であり高い信頼性があります。
NEDOの日射量データベースには、以下の2種類があります。
- MONSOLA-20
- METPV-20
統計期間 | データ種別 | 地点数 | 日射量の推定方法 | |
---|---|---|---|---|
MONSOLA-20 | 2010年〜2018年 | 代表年の時別地 | 全国835地点 | 日照時間等から全天日射量を推定するモデル+ひまわり8号データから推定した日射量分布 |
METPV-20 | 2010年〜2018年 | 9年間の月平均値(推定値) | 全国1kmメッシュ | 日照時間等から全天日射量を推定するモデル |
引用:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO 日射量データベースの解説書」
これらのデータベースを活用することで、ご自宅の屋根の傾斜角や方位に合わせた、より正確な発電量予測が可能になります。
ただし、専門的な知識が必要となる場合があるため、太陽光発電の専門業者に相談する際に活用するのがおすすめです。
専門業者は、これらのデータを基により詳細なシミュレーションをおこない、最適なシステム設計を提案してくれます。
ジャパンライフアシストでは、お客様のご家庭に合わせた最適なプランをご提案します!まずはお気軽にお問合せください。
大手電力会社・太陽光メーカー提供のツール
大手電力会社や、パナソニック・シャープといった太陽光メーカーも無料のシミュレーターを提供しています。
太陽光メーカー提供のツールは、自社の製品を導入した場合の発電量や経済効果を詳細に予測できるため、より具体的なシミュレーションが可能です。
シャープ | 太陽光発電と蓄電池システムをご自宅に設置した場合の発電量、節電金額、システム設置費用などの試算が可能 |
京セラ | 4STEPで太陽光発電・蓄電池のシミュレーションが可能 |
エネピタ (パナソニック) | 創畜連系システムを導入した場合のシミュレーションが可能 |
NTTスマイルエナジー | 4項目を答えるだけで発電効果のシミュレーションが可能 |
LIXIL | 設置条件を選んで予想発電量や節約できる買電電気料金のシミュレーションが可能 |
サンクル (東京電力ホールディングス) | 住所を⼊⼒するだけで、設置費⽤や補助⾦、発電量を瞬時に概算 |

オンラインで簡単に計算できる民間サービス
民間企業が提供するオンラインシミュレーターを活用することで、簡単に発電量や売電収入を試算が可能で、ウェブサイト上でいくつかの質問に答えるだけで、おおよその発電量や経済効果をシミュレーションすることができます。
ただし、これらのサービスは詳細な設定ができない場合や、結果の精度がやや低い場合があるため注意が必要です。
あくまで目安として利用し、より詳細なシミュレーションは専門業者に依頼することをおすすめします。
太陽光発電のシミュレーション結果を活用する4つのポイント

太陽光発電のシミュレーションをおこなった後は、その結果をどのように活用するかが重要です。シミュレーション結果を正しく理解し、実際の設置環境と比較しながら、より正確な収益計画を立てることが成功の鍵となります。
ここでは、シミュレーション結果を最大限に活かすためのポイントを詳しく解説します。
実際の設置環境と比較して精度を確認
シミュレーションの結果は、あくまで理論上の計算に基づいています。そのため、実際の設置環境と比較し、誤差を最小限に抑えることが重要です。
実際の設置環境とシミュレーションの結果にズレがある場合は、施工業者と相談し、最適な設置方法を検討しましょう。
チェックすべきポイント
- 屋根の向きや角度: シミュレーション通りの最適な角度で設置できるか確認
- 影の影響: 近隣の建物や樹木が影を落とす時間帯を考慮
- 地域ごとの気候条件:シミュレーションの気象データと実際の天候傾向を比較
複数のツールを使いシミュレーションの信頼性を高める
シミュレーションツールによって計算方法やデータの元となる条件が異なるため、1つのツールだけでなく、複数のツールを使用して結果を比較することが重要です。
おすすめのシミュレーションツール
- NEDO(日射量データベース):過去の天候データを基にして詳細な予測が可能
- 大手電力会社のツール:売電プランに基づいた収益シミュレーションが可能
- 民間の無料シミュレーションツール:簡単な入力で発電量や売電収益を計算
これらのツールを併用し、シミュレーション結果の平均値を取ることで、より精度の高い予測が可能になります。
メンテナンス費用や劣化率を考慮した長期的な収益計画
太陽光発電システムは長期間使用する設備のため、導入時だけでなく、維持管理費用や太陽光パネルの劣化による発電量の減少も考慮した計画が必要です。
主なメンテナンス費用
太陽光パネルの清掃や点検 | 約3~4年ごと 約2万円 |
パワーコンディショナーの交換 | 約10〜15年に1回 約20万円 |
太陽光パネルの交換 | 約20~30年に1回 1kWhあたり約20万円~~(設置環境による) |
蓄電池の交換 | 約10〜15年に1回 |
太陽光パネルの劣化率の目安
- 1年あたり約0.5%前後の発電量低下
- 20年後には10%前後の発電能力低下が見込まれる
長期的な収益シミュレーションをおこなう際には、こうしたメンテナンスコストや発電量の減少を加味することで、より現実的な回収期間を算出できます。
補助金を加味したトータルコストの算出
太陽光発電システムの導入には、国や地方自治体の補助金を活用することで、大幅にコストを削減できます。シミュレーションをおこなう際には、これらの補助金を考慮したうえで、実質的な投資額を計算しましょう。
2024年度の主な補助金制度
国の助成金 | 太陽光発電+蓄電池のセット導入で最大60万円 |
地方自治体の助成金 | 東京都では最大90万円の補助金 |
ZEH(Net Zero Energy House)補助金 | ZEH(Net Zero Energy House)+の場合最大125万円 |
PPA(Power Purchase Agreement) | 電力会社やメーカーによる初期費用ゼロプラン |
GX志向型住宅補助金 | 新築住宅向けに最大160万円 |
補助金を加味した場合、回収期間が短縮されるため、実際の投資効果を正確に評価することができます。
シミュレーションを活用することで、太陽光発電の発電量や売電収益を予測し、導入の意思決定をより正確におこなうことができます。
しかし、シミュレーション結果はあくまで予測であり、実際の設置環境や維持管理コストを考慮することが大切です。

まとめ

太陽光発電の導入を検討する際には、シミュレーションを活用して発電量や売電収入を試算することが重要です。無料ツールを活用し、正確なデータをもとに最適な設置計画を立てましょう。
シミュレーション結果を活用する際には実際の設置環境と比較して精度を確認し、複数のツールを使って信頼性を高めることが大切です。
さらに、メンテナンス費用や劣化率を考慮した長期的な収益計画を立て、補助金や助成金を加味したトータルコストを算出することも忘れてはいけません。
シミュレーションをして太陽光発電の導入を検討される際は、ぜひジャパンライフアシストにご相談ください!
まずはお気軽に資料請求・お見積もりから!