ソーラーカーポートは後付けできる?設置条件・費用・メリットを解説!

近年、再生可能エネルギーへの関心が高まる中、車庫で発電できる「ソーラーカーポート」が注目を集めています。
しかし、既存の駐車場に後付けできるのか、設置にかかる費用や条件はどうなのか、わからない点も多いでしょう。
本コラムでは、ソーラーカーポートの後付け設置に関するポイントを詳しく解説します。設置を検討している方や、電気代の節約を考えている方はぜひご覧ください。ソーラーカーポートのメリット・デメリットを正しく把握し、最適な選択をしましょう。
ソーラーカーポートは後付け可能?

ソーラーカーポートは、既存の駐車場にも後付けで設置できます。一から駐車場をつくり直すことなく、現在お使いのカーポートや駐車スペースを有効活用することが可能です。
ソーラーカーポートは雨風や紫外線から愛車を保護する役割だけでなく、太陽光発電所にもなるため、一石二鳥といえます。
たとえば太陽光パネルを住宅屋根に設置できないご家庭や、住宅屋根に追加して発電量を確保したい場合には特におすすめの選択肢です。
ただし、設置にはいくつか考慮すべきポイントがありますので、詳細をみていきましょう。
後付けの際に考慮すべきポイント
既存のカーポートに後付け設置をする際には、いくつかのポイントを考慮する必要があります。
まず、既存のカーポートに設置する場合、太陽光パネルの追加重量に耐えられることが前提です。通常のカーポートでは雨風や積雪などの影響は想定していますが、太陽光パネルの重量に耐えられるかは屋根の素材や強度によって異なります。
カーポートは暴風雪や地震によって倒壊するリスクもあるため、太陽光パネルを設置しても屋根や柱がその重さに耐えられる強度でなければいけません。
加えてカーポート自体が太陽光パネルを設置できる大きさがあることも条件となります。設置場所が小さすぎる場合は十分な発電量が得られません。
また、設置する場所の日照条件、設置場所の周囲に高い建物や木など遮るものがないかも確認が必要です。
地域の気候条件もチェックしよう
地域の気候条件も、ソーラーカーポートの設置に影響を与えます。
たとえば雪の多い地域なら、積雪荷重に耐えられる設計が必要です。耐雪仕様のカーポートを選ぶことで、雪の重さで潰れないという安全性を確保できます。
一方、強風地域では、風圧に対して強度を持った太陽光パネルなどが選択肢になってきます。
地域の気象条件に関しては、気象庁のホームページで日本全国の気象データが公開されていますので、地域の数値を確認しておきましょう。
カーポート一体型の製品も設置可能
既存のカーポートに太陽光パネルを後付けすることも可能ですが、屋根なしの駐車スペースにソーラーカーポートを設置することもできます。
もしカーポートがない場合は一から設置することになるため、カーポートに後付けする設置方法ではなく、太陽光パネル一体型のカーポートが選択肢のひとつになってくるでしょう。
ソーラーカーポートを後付けする際の設置条件

ソーラーカーポートの後付け設置には、いくつかの条件があります。
ここからは設置スペースや日照時間、基礎工事の有無、電気配線の確保など、事前に確認しておくべき点を詳しく解説します。
日照りがよく設置スペースがあること
発電効率を最大化するためには、太陽光が十分に当たる場所への設置が必要です。設置する場合は日中、カーポートに影がかからない場所を選ばなければいけません。逆にいえば、既存のカーポートに影の影響が大きい場合は、後付け設置は避けた方がいいでしょう。
もし新たにカーポートを設置する場合は、スペースが十分にあるかも重要です。1台用は幅2.5メートル、奥行き5メートル程度のスペースが必要になると見込んでおきましょう。
埋設物や耐久性の確認
新たにカーポートを設置する場合、基礎工事が必要になります。地震や風や雪で倒壊しない、しっかりとした基礎を作らなければならないためです。
しかし、駐車場がある場所に水道管などの動かせない埋設物がある場合、希望する場所にカーポートを作れない可能性があります。その場合は当初予定していた設置場所から、位置を変更する必要があるでしょう。
また、既存のカーポートに太陽光パネルを取り付ける場合でも、構造的に耐えられるかの耐荷重の確認が必要です。メーカーや施工業者に相談して、安全性を確保しましょう。
なお、基本的にポリカーボネート製のカーポートの場合は耐荷重に耐えられないため、後付け設置できないので注意してください。
電気配線の引き込みが可能かどうか
発電した電気を家庭内で使用するためには、カーポートから家屋への電気配線が必要です。配線経路に障害物がないか、工事が可能かを確認しましょう。
また、電気設備の容量が足りない場合は、分電盤の増設や電気契約の変更が必要になることもあります。その場合、電気工事士による専門的なチェックが求められます。
自治体の補助金や建築制限のチェック
ソーラーカーポートの設置には、自治体の補助金制度が利用できる場合があります。設置前に自治体のホームページや窓口で活用できるものがないか確認してみましょう。
また、地域によっては建築規制や景観条例が適用される場合があります。高さ制限や外観規制など、事前にチェックしておくことが重要です。
ソーラーカーポートを後付けする設置費用と相場

ソーラーカーポートの設置費用は、カーポートのサイズやメーカー、工事内容によって異なります。ここでは、一般的な費用相場やコスト削減のポイントを紹介します。
1台用・2台用・大型カーポートの費用比較
カーポートのサイズとタイプによって、費用は大きく変動します。一般的な相場は以下の通りです。なお、「屋根一体型」は最初からカーポートと太陽光パネルが一緒になっているもので、「太陽光搭載型」が既存カーポートに後付けするタイプです。
サイズ | 屋根一体型 | 太陽光搭載型 |
1台用 | 約150万円~200万円 | 約170万円~ |
2台用 | 約200万円~230万円 | 約210万円~250万円 |
3台以上(大型) | 約250~430万円 | 約280万円~450万円 |
これらの費用には、カーポート本体、太陽光パネル、設置工事費などが含まれています。ただし、選ぶ材料やオプションによって価格は前後するので、正確な価格を知りたい方は複数の業者から見積もりを入手することをおすすめします。
エコまるでは、ご自宅の敷地の形状に合わせたオーダーメイドカーポートも承っており、施工事例も多くあります。
メーカーごとの価格相場(長州・Qセルズ・DMMなど)
メーカーによっても価格が異なります。主要メーカーの価格帯は以下の通りです。
メーカー | 価格相場 |
長州産業 | 約100万円~170万円 |
Qセルズ | 約100万円~140万円 |
DMMソーラー | 約100万円~170万円 |
各メーカーを比較し、自分のニーズに合ったものを選びましょう。
補助金を活用したコスト削減
自治体の補助金を活用することで、初期費用を大幅に抑えることも可能です。カーポートの屋根といっても費用は安くないので、活用できる補助金がないか積極的に確認しましょう。
本コラムでは2025年5月(令和7年度)までに、東京都と愛知県の市区町村で展開されている補助金をご紹介します。
補助金の名前 | 補助の詳細 | 他の補助金との併用可否 | 公式サイト |
【東京都】 災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業 | 太陽光発電:1kWあたり10万円~(上限45万円) 蓄電池:1kWあたり19万円(上限95万円。蓄電池容量6.34kWh未満の場合) | 国や市区町村のものは可能 東京都が提供するものは不可 | https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/climate/home/dannetsu-solar/ |
【東京都】 東京ゼロエミ住宅 | 30万円から最大240万円 | 国や市区町村のものは可能 東京都が提供するものは不可 | https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/climate/home/tokyo_zeroemission_house/ |
【愛知県】 愛知県住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金(市町村との協調補助) | 市町村によって異なる | 市町村によって異なる | https://www.pref.aichi.jp/soshiki/ondanka/0000004471.html |
【愛知県】 令和7年度 住宅等の脱炭素化促進補助(名古屋市) | 太陽光発電設備:1kWあたり10,000~30,000円(上限19万5000円。戸建ての場合) 蓄電システム:1kWhあたり15,000円(上限12万円) V2H充放電設備: 1件あたり50,000円 など | 要件あり | https://www.city.nagoya.jp/kankyo/page/0000138396.html |
【愛知県】 家庭用エネルギー設備導入補助金(豊橋市) | 太陽光発電設備: 【一体的導入(太陽光・HEMS・蓄電池)】一件12万円 【ZEH】一件16万円 | 要お問い合わせ | https://www.city.toyohashi.lg.jp/49738.htm |
なお、これらの補助金の詳細や提供の有無については変更される場合があるため、最新情報をチェックしてください。
ソーラーカーポートを後付けするメリット・デメリット

ソーラーカーポートの設置には多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。ここではその両面を理解し、導入の判断材料としましょう。
メリット:買電電気代の削減と売電収入
自家発電により、買電電気代の削減が期待できます。環境省の家庭部門のCO2排出実態統計では、太陽光発電システムを導入している家庭は、導入していない家庭に比べて買電して使用するエネルギーが減っているという調査結果が出ています。(2022年調査)
また、余剰電力が作れるようになれば、電力会社に売電することで収入を得ることも可能です。売電価格は年々変動しますが、FIT制度を活用すると一定期間は安定した収入が期待できます。
参考:経済産業省|再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2025年度以降の買取価格等と2025年度の賦課金単価
メリット:電気自動車(EV)充電ステーションとして活用できる
ソーラーカーポートは、EVの充電ステーションとしても活用できます。外部の充電ステーションではなく自宅で充電できるようになるため、充電ステーションへ行く手間を減らすことが可能です。
また、再生可能エネルギーを使用して充電するため、EVを充電する買電電気代の削減も期待できる可能性があります。現在、EVを所有している方、これからEVに買い替える予定の方には導入により更なるメリットを享受できるでしょう。
デメリット:設置スペースの制限がある
ソーラーカーポートの設置には、十分なスペースが必要です。新たに設置するとしても敷地が狭い場合は設置が難しい場合もあり、後付けするとしても屋根形状や素材によっては設置ができないことがあります。具体的には、カーブ形状の屋根やポリカーボネート素材のものなどです。
また、近隣との境界線や法規制によって、設置場所が制限される場合もあります。そのため、事前に専門家と相談し、適切なプランを立てましょう。
デメリット:初期費用が高く回収期間が長い
ソーラーカーポートは初期投資が高額になるため、投資回収までに時間がかかるというデメリットもあります。一般的には、10年以上の回収期間を想定しなければいけません。
ただし、補助金が活用できること、長期的な買電電気代の削減効果を考慮すると、長期的に見るとメリットが大きいケースも少なくありません。ご自宅のケースでどれほどの費用対効果があるのか、専門業者の出す見積もりで十分に検証することをおすすめします。
後付け設置で失敗しないためのポイントと注意点

ソーラーカーポートを後付け設置する際、失敗を避けるためにはポイントがあります。導入前に設置方角や角度、モデルや業者選びなど、注意すべき点を押さえておきましょう。
発電量を最大化するための設置方角と角度
発電効率を高めるためには、カーポートの方角と太陽光パネルの角度が重要です。一般的に太陽光パネルは南面に設置し、傾斜角を約30度に設定すると発電効率がよくなるとされます。
なお、後付けのソーラーカーポートの場合は、カーポートに架台を設置し、さらにそこへ太陽光パネルを載せる仕組みになります。この際、太陽の向きにあわせて架台を多少調整して設置することが可能です。
業者には住宅の条件に合わせ、最適な設計を提案してもらいましょう。
耐風・耐雪仕様のモデル選びが重要
地域の気候条件にあわせて、耐風・耐雪性能の高いカーポートを選ぶことも重要です。
たとえば強風地域では風速38m/s以上に耐えるモデル、豪雪地域では積雪量1.5m以上に耐えられるモデルなどが推奨されています。また、降雪地域では住宅屋根からの落雪も気にしなくてはなりません。もし極端な気候の傾向がある場合は、これらに対応した適切なモデルを選ぶ必要があるでしょう。
気候に合った製品はカーポートの倒壊リスクを軽減できるため、長期的な安心につながります。ご自身でも各メーカーの商品の特徴を確認し、自宅の地域ではどのようなモデルが適切か下見しておきましょう。
施工実績のある業者を選ぶ
施工トラブルを防ぐために、信頼性のある業者を選ぶことも重要です。業者選びでは、過去の施工実績や口コミなどをインターネットなどで自ら調べ、信頼に値する業者か見極めましょう。
なお、施工実績は少なくとも年間100件以上手掛けていると安心です。
ただし、業者によって設置できるメーカーが異なります。設置したい太陽光パネルのメーカーがある場合は、あらかじめ希望メーカーを取り扱っているか、希望の商品を設置できるか業者に確認してみてください。
まとめ

ソーラーカーポートは、既存の駐車場にも後付けで設置でき、買電電気代の削減やEVの充電ステーションとして活用できる魅力的なシステムです。
ただ、一方で設置には日照条件やスペースの確保、電気配線の引き込みなど、設置すること自体にいくつかの条件や注意点があります。実際にご自宅でソーラーカーポートが設置可能か、各要件を確認する必要があるでしょう。
また、初期費用が高い点や費用回収に時間がかかるというデメリットもあるので、補助金を活用して導入することをおすすめします。
長期的な視野で環境にも家計にも、愛車にもやさしいソーラーカーポートの導入を、ぜひご検討ください。
エコまるでは、お客様にぴったりのソーラーカーポートのご提案、補助金申請の代行もしていますので、まずはお気軽にお問合せください!