家庭用太陽光発電の発電効率とは?計算方法と発電効率を上げるポイントを紹介

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家庭用太陽光発電の発電効率とは?計算方法と発電効率を上げるポイントを紹介

家のリビングが背景。太陽光発電モニターを持ち操作している画像。

近年、環境への関心が高まる中、家庭用太陽光発電の導入を検討する方が増えています。しかし実際にどれだけの電力を得られるのか、発電効率について疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本コラムでは、家庭用太陽光発電の発電効率の基本から計算方法、効率を上げるためのポイントまで詳しく解説します。

また、発電効率が家庭の電気代削減にどのように影響するのか、具体的に説明します。最適な太陽光発電の実現を目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

家庭用太陽光発電の発電効率とは

机の上に家の設計図や鉛筆やメモ帳、付箋などが乱雑におかれており、真ん中にスマートフォンがあり、住宅の省エネ性能が表示されている画像

家庭用太陽光発電の発電効率は、太陽光をどれだけ電力に変換できるかを示す指標で、太陽光パネルの性能や設置環境に影響されます。

効率が高いほど、限られた面積でより多くの電力を得ることができ、電気代の削減にもつながります。

まずは、家庭用太陽光発電の基本的なポイントや太陽光パネルの種類などをみていきましょう。

発電効率の基本的な定義と重要性

発電効率は、太陽光パネルが受け取った光エネルギーに対して、どれだけの電気エネルギーを生成できるかの割合を示します。

効率が高いほど、同じ面積でより多くの電力を得ることができ、電気代の削減効果が大きくなるということです。

高効率のシステムを選ぶことで、限られたスペースでも十分な発電量を確保でき、電力会社から購入する電力量を減らし、経済的にも有利になります。

太陽光パネルの種類による効率の違い

太陽光パネルには主に以下のような種類があります。また太陽光パネルごとに製造方法や材料が異なり、発電効率も変わります

  • 単結晶シリコン型
  • 多結晶シリコン型
  • 薄膜型

単結晶シリコン型は構造が均一で、電子の移動がスムーズであるため、高い発電効率を持つのが特徴です。

一方、多結晶シリコン型は製造コストが低いため手頃な価格で導入できますが、単結晶に比べて効率がやや劣ります。

また薄膜型は軽量で柔軟性があるものの、効率は他のタイプに比べて低いのが特徴です。

各パネルの特性を理解しておくと、自宅に適した太陽光パネルを選びやすくなります。

一般的な発電効率の目安(単結晶・多結晶・薄膜)

環境省のデータをもとにした発電効率の目安は以下の通りです。

  • 単結晶シリコン型:約16%(※)
  • 多結晶シリコン型:約15%(※)
  • 薄膜型:約8.5%(※)

具体的な数値はメーカーや製品によって異なり、単結晶型が最も高効率であるといえます。また多結晶型でも高効率化が進んでおり、選択肢が広がっています。

効率を重視する場合は単結晶型が最適ですが、コストや用途に応じて適切な種類を選ぶことが大切です。

(※)引用:19 設備 – □太陽光発電システム

発電効率が家庭の電気代に与える影響

発電効率が高い太陽光パネルを導入すると、同じ設置面積でより多くの電力を発生させることができます。

これは、発電効率が高いほど、パネルが太陽光をより効率的に電力に変換できるためです。

発電量が増えると家庭での自家消費分も比例して増え、電力会社から購入する電力量が減少しやすいです。

結果として、月々の買電電気代が節約できます。高効率の太陽光パネルを選ぶことは長期的な電力コストの削減にもつながり、初期投資の回収も早くなります。

太陽光発電の発電効率の計算方法と目安

スーツ姿の男性がパソコンで仕事をしている周りに、再生可能エネルギーに関するアイコンが表示されている画像

発電効率を理解するためには、その計算方法を知ることが重要です。

具体的な計算式と例を用いて、効率の算出方法を見ていきましょう。また太陽光パネル容量や日射量など、計算結果に影響を与える要因についてもあわせて解説します。

発電効率の計算式と具体的な例

発電効率(%)は、以下の計算式で求められます。

発電効率(%)=(発電量(W)÷(太陽光の入射エネルギー(W/m2)×パネル面積(m2))× 100

具体的な例として、1m2の太陽光パネルが1,000W/m2の太陽光を受けて200Wの電力を発生させた場合、発電効率は次のように計算されます。

発電効率(%)=(200W ÷ (1,000W/m2×1m2))× 100= 20%

この例では、太陽光パネルが受けた太陽光エネルギーのうち、20%が電力に変換されます。発電効率はパネルの性能や設置環境によって異なるため、効率のよい太陽光パネルを選ぶことが重要です。

パネル容量(kWh)と実際の発電量の関係

パネル容量(kWh)は、太陽光パネルの定格出力を示し、理論的な最大発電量を示します。

しかし、実際の発電量は設置環境や気象条件によっても異なります。実際の発電量を予測するためには、パネル容量(kWh)に地域の年間平均日射量(kWh/m2)を掛け算する方法が一般的です。

例えば、3kWhの太陽光パネルを設置し、地域の年間平均日射量が1,200kWh/m2の場合、年間の予想発電量は、以下のように計算されます。

3kWh × 1,200kWh/m2² = 3,600kWh

この予測値は太陽光パネルが年間に生成する電力の目安となり、実際の発電量には天候や設置角度、メンテナンス状況などが影響します。

日射量や気温が計算結果に与える影響

太陽光発電の効率は、日射量と気温の影響を強く受けます。太陽光パネルは日射量によって発電量も変化するのが基本です。しかし気温が高くなりすぎると、太陽光パネルの効率が低下するといわれています。

太陽電池は温度によって性質が変わるため、一般的に太陽光パネルの温度が25℃を超えると効率が低下しやすくなります。

太陽光パネルの内部で熱が蓄積されることが原因で、電力変換効率が悪化するためです。発電量を最大化するためには、日射量と気温のバランスに配慮した設置が不可欠です。

地域ごとの発電効率の違い

日本国内では地域ごとに日射量や気温が異なり、太陽光発電の効率に大きな影響を与えます。

例えば、山間部は盆地と比べて気温が上がりすぎないため、発電効率が高くなることがあります。日射量を十分に確保でき、気温が高くなりすぎない環境は、太陽光発電にとって理想的な条件といえるでしょう。

また関東地方では日射量が多く、発電効率が高い傾向にあります。一方で、北海道では季節によって寒冷や曇りの日が多いため、発電量も低くなりやすいです。

国立研究開発法人の調査によると、太陽光発電の年間の発電量は平均約1,000kWh/kWですが、地域や年によっても1〜3割程度の違いがあります(※)。

そのため、地域ごとの特性を考慮したうえでシステムの選定をおこなうことが重要です。最適なシステムを選ぶと、最大限の発電効率を実現できます。

(※)引用:2 太陽光発電の技術の現状とロードマップ

発電効率を左右する主な要因

デスクでシャツを着た男性がペンをもって仕事している。机の上には電卓、マグカップ、電球、段ボールで作られた家が置いてあり、家の側面には省エネ性能が表示されている画像

発電効率は太陽光パネルの種類だけでなく、設置条件や周囲の環境によっても大きく変化します。ここでは、効率を左右する主な要因について詳しく解説します。

太陽光パネルの設置角度・方角が影響している

太陽光パネルは、太陽からの光を最も効率的に受け取れる角度と方角に設置することが重要です。日本では一般的に南面に設置し、角度は緯度と同程度(約30度)に設定するのがおすすめです。

しかし、屋根の形状や建物の構造によっては理想的な角度・方角に設置できない場合もあります。調整可能な架台を使って工夫すると、効率を高めることが可能です。

日照条件や影が影響(周辺環境)している

太陽光パネルに影がかかると部分的に発電量が低下し、全体の効率にも影響を及ぼす場合があります。近隣の建物や樹木、アンテナなど、近くに影になる要因があるか事前に確認することも大切です。

また、太陽光パネルの一部が影になると全体の出力が下がる「部分影効果」を引き起こす可能性もあります。部分影効果を避けるためには、各パネルごとに出力を最適化できるパワーオプティマイザを導入するのもおすすめです。

気温や天候による発電効率の変化も

発電効率は、気温が低すぎる場合でも低下することがあります。曇りや雨などの天候不良時も、日射量が減少することで発電量が減ります。

太陽光発電は気象条件に左右されやすいのが特徴です。できるだけ長期の蓄積データに基づいた発電シミュレーションで年間発電予測を立てると、気温や天候による発電効率の変化がわかります。

パワーコンディショナーの変換効率も要因

パワーコンディショナーは、太陽光パネルで発生した直流電力を家庭で使用可能な交流電力に変換する装置です。この変換にも効率があり、一般的には95%前後とされています。

また、高効率なパワーコンディショナーでは変換効率が97%以上(※)を達成している機種も存在します。

高効率のパワーコンディショナーを選ぶと発電した電力を無駄なく効率的に利用でき、太陽光発電システムの性能を最大限に引き出すことが可能です。これにより、電気代削減効果がさらに高まり、システム全体の経済性が向上します。

(※)引用:変換効率 97.5%の太陽光発電用パワーコンディショナの開発

家庭用太陽光発電の発電効率を上げるポイント

夕日を背景に電球を持っていて、電球に太陽、トウモロコシ、水、風力発電、パネルのサイクルが表示されている画像

発電効率を上げるためには、前述の要因に対して適切な対策を講じることが必要です。ここでは、具体的な効率向上のポイントをご紹介します。

適切な設置角度・方角を調整する

太陽光パネルの設置角度や方角によって発電効率が下がる場合は専門業者に依頼し、建物の構造や周囲の環境を考慮した最適なレイアウトを設計してもらいましょう

季節によって太陽の高度が変わるため、可変式の架台を利用して角度を調整する方法もあります。設置にかかる初期費用が嵩む可能性があるので、コストとのバランスをみてしっかり検討しましょう。

影の影響を最小限にする設置場所を選定する

影が避けられない場合は、影の影響を受けにくい太陽光パネルの配置や、影を分散させるための機器を導入することを検討しましょう。

また、定期的に周囲の環境をチェックし、周囲に生い茂る樹木や建物が影を落とさないように管理することが大切です。

影のもととなる樹木の剪定をすることで、発電効率を維持しやすくなります。

高効率パネルを選択する

太陽光発電パネルの技術は日々進化しており、高効率なパネルが続々と登場しています。

発電効率の高いパネルを選ぶと、限られた設置面積でも十分な電力を供給することが可能ですより多くの電気を自家消費できるため、買電電気代の削減効果が高まります。

特に最新技術を備えた太陽光パネルは、発電効率が向上するだけでなく、熱による効率低下を抑える特性を持つものもあります。

これにより、夏場の超高温期でも安定した発電が期待できるのもポイントです。

最新モデルは、初期費用は高くなり、長期的に見ると効率がよい傾向にあります。

つまり、初期投資が高くても、高効率であれば投資回収が早いといえます。選択肢を検討する際は、初期投資だけでなく、長期的な経済効果も考慮しましょう。

HEMS(Home Energy Management System)と連携する

HEMSは、家庭内のエネルギー使用状況をリアルタイムで可視化し、効率的なエネルギー利用をサポートするシステムです。

太陽光発電システムと連携させることで、発電量と消費量を常に手持ちのスマートフォンで把握でき、最大限に電力を自家消費することが可能になります。

例えば、昼間に発電した電力を直接家電や蓄電池に使用することで、余剰電力を電力会社に売電するだけでなく、家庭内での使用を優先できるのもポイントです。

買電電気代を大幅に削減することにもつながり、より効率的にエネルギーを管理でき、環境負荷の低減にも貢献します。

発電効率を最大化するためのメンテナンス方法

白いシャツを着た人が両手でガラスのモニターを持っている。モニターに省エネ性能が表示されている画像

太陽光発電システムは、適切なメンテナンスによって長期間にわたり高い性能を維持できます。ここでは、発電効率を最大化するための具体的なメンテナンス方法を紹介します。

定期的なパネルの清掃や点検をする

太陽光発電パネルの発電効率を維持するためには、定期的な清掃と点検が欠かせません。

太陽光パネルの表面に汚れや鳥の糞が付着すると日射量が減少し、発電効率が低下します。そのため、定期的に太陽光パネルを清掃して、常にクリーンな状態を保つことが重要です。

また、太陽光パネルの破損や劣化が進行していないかの点検も必要です。

特に、長期間使用している場合、ひび割れや傷が進んでいる可能性があるため、定期的な点検で早期に異常を発見し、早期の対処が求められます。

定期的にメンテナンスをおこなうことで発電量を最大化し、システムの寿命を延ばしましょう。

パワーコンディショナーを交換・最適化する

パワーコンディショナーは、太陽光発電システムの重要な部品で、発電した直流電力を家庭で使用できる交流電力に変換する役割を果たします。

その寿命は一般的に10〜15年程度とされます。長期間使用すると劣化が進み、変換効率が低下するため、定期的に点検と交換を検討することが大切です。

劣化したパワーコンディショナーをそのまま使用すると、電力効率が低下します。

最新の機種に交換することで、変換効率が向上し、エネルギー効率の向上が図れるほか、新たな機能(例えば、通信機能やデータ分析機能)を活用することも可能です。

太陽光発電システム全体の性能を向上させると、長期的な買電電気代削減にもつながります。

経年劣化を考慮したパネルの交換計画を立てる

太陽光パネルの寿命は通常20〜25年とされており、長期間使用すると徐々に出力が低下します。

発電量も減少し、効率が悪化する可能性があります。そのため、定期的な性能チェックが重要です。

太陽光パネルの劣化具合を確認し、計画することが求められます。劣化した太陽光パネルを新しいものに交換すると、発電効率を回復させ、再び高い発電量を確保できます

また、最新技術を活用した太陽光パネルに交換することで、さらに効率を向上させ、長期的な電気代削減にも貢献します。適切な交換計画はシステム全体のパフォーマンスを維持し、最大限の利益を得ることにつながります。

異常発生時の早期対応と専門業者を活用する

太陽光発電システムに異常を感じた場合は、早期に専門業者に連絡して点検や修理を依頼することが重要です。

異常を放置すると、発電効率が低下するだけでなく、システムの故障や破損、火災などのリスクが高まる可能性があります。特に、電気系統やパワーコンディショナーに問題があると、発電量に関するトラブルにもつながりやすいです。

専門業者とのメンテナンス契約を締結しておくと、定期的な点検、異常の早期対応が可能になるため、システムを安全かつ効率的に長く運用することができます。

まとめ

透明なパネルに太陽光に関するイラストが表示されている。エネルギー効率が表示され箇所をスーツの男性が指さしている画像

家庭用太陽光発電の発電効率は太陽光パネルの種類や設置条件、メンテナンスなど多くの要因によって左右されます。長期にわたって高い発電効率を実現するためには、適切な太陽光パネル選びから設置環境の最適化、定期的なメンテナンスが不可欠です。

自宅の条件に合った最適なシステムを導入すると、買電電気代の削減や環境への貢献ができます。ぜひ本コラムで紹介したポイントを参考に、太陽光発電の導入を検討してみてください。

またジャパンライフアシストでは、太陽光発電の発電効率をよくするためのアドバイスもしています。設置した太陽光発電の発電効率が悪くなってしまった、などの相談も受け付けています。ぜひお気軽にご相談ください!

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