ソーラーカーポートはやめたほうがいい?導入するデメリットと失敗例・注意点を紹介

近年、環境にやさしいエネルギーへの関心が高まる中、ソーラーカーポートの導入を検討する方が増えています。しかし、一部では「ソーラーカーポートはやめたほうがいい」という声も聞かれます。実際のところはどうなのでしょうか?
判断のためにはソーラーカーポートを正しく理解することが欠かせません。自分の生活スタイルや環境に合っているかどうかを見極め、疑問や不安を解消しましょう。
本コラムでは、ソーラーカーポートの仕組みやメリットだけでなく、導入時の注意点、デメリットや失敗例も詳しく解説します。導入を迷っている方はぜひ参考にしてください。
ソーラーカーポートとは?仕組みと導入する目的

ソーラーカーポートは、駐車場の屋根部分に太陽光パネルを設置し、電力を発電するシステムです。自宅の駐車スペースを有効活用しつつ電力を得られるため、屋根の条件が悪くて太陽光発電の導入を諦めた方にもおすすめです。
発電した電力は家庭内での消費や電気自動車(EV)の充電に活用できます。また、余剰電力を電力会社に売ることで、売電収入を得ることも可能です。
災害時には非常用電源としても活用できるため、エネルギーの自給自足や防災対策の一環として注目されています。
ソーラーカーポートの仕組み
ソーラーカーポートは、基本的に駐車場の屋根に太陽光パネルを設置し、太陽の光をエネルギーとして電力を発電する仕組みとなっています。通常のカーポートと同様に愛車を風雨や紫外線から守りつつ、屋根部分が発電設備となるのです。
家とは違い屋根の下は空洞になっているため、内側からも発電が可能なモデルであれば、地面からの反射光で更なる発電が可能です。
ソーラーカーポートのメリット
ソーラーカーポートを導入すると、次のようなメリットを得られます。
- 買電電気代の削減や売電収入が期待できる
- 発電した電力を家庭や電気自動車(EV)に活用
- 災害時の非常用電源になる
それぞれ詳細を解説します。
買電電気代の削減や売電収入が期待できる
ソーラーカーポートを導入する大きな目的の一つが、買電電気代の削減です。太陽光で発電した電力を自宅で消費することで、電力会社から購入する買電電気代を抑えることができます。
また、余った電力を電力会社に売電することで、収入を得ることも可能です。しかし売電価格は年々下落している点には留意してください。2012年度の売電価格は1kWhあたり42円でしたが、2025年度現在では売電価格は1kWh15円にまで下がっています。
このため、電気の自家消費を重視し、買電電気代を削減する運用方法がより注目されている点には留意しておきましょう。
参考:資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2012年度~2023年度)」
参考:資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2024年度以降)」
発電した電力を家庭や電気自動車(EV)に活用
ソーラーカーポートで発電した電力は、家庭内の電気機器の運転や電気自動車(EV)の充電に利用できます。
日本自動車販売協会連合会によると、EVのシェアは2020年には0.59%(約1万5000台)でした。しかし、2024年には1.3%(約3万4000台)まで成長しており、今後もEV需要の拡大が見込まれます。自宅でEVを充電するニーズは高まっているといえます。
自家発電した電力をEVに充電すれば、ガソリン代の削減につながるでしょう。また、環境負荷の低減にも寄与します。エコで経済的な暮らしを実現するための手段としても、ソーラーカーポートは有効なのです。
参考:日本自動車販売協会連合会「燃料別の統計資料について」
災害時の非常用電源としても利用可能
地震や台風などの災害時には、停電が発生することがあります。しかし、ソーラーカーポートがあれば、太陽光発電した電力を非常用電源として活用できるでしょう。
特に、蓄電池を併用すれば、昼夜を問わず必要な電力を確保できます。蓄電池は昼間に発電した電力を、太陽の出ていない夜間に使用できるため、平時からの節電対策としても有効なアイテムです。
ソーラーカーポートのデメリット・やめたほうがいいといわれる理由は?

ソーラーカーポートには多くのメリットがありますが、「やめたほうがいい」という声を聞いたことはありませんか?なぜそういわれるのでしょうか?
初期費用が高額で回収に時間がかかる
ソーラーカーポートの設置は住宅屋根への設置と比較して割高です。太陽光発電の導入費用は設置容量5kW程度で約100万円〜150万円が相場となっており、さらにカーポート本体の費用もかかるため、総額では相応の費用となります。
この高額な初期投資を売電収入で回収するには、売電価格の下落がネックになり時間がかかるでしょう。自家発電は長期的に見れば節電になりますが、当座の出費増は否めないため、「やめたほうがいい」と感じる方も出てしまうでしょう。
設置スペースや強度の問題で施工できないケースがある
ソーラーカーポートを設置するには、十分なスペースと強度が必要です。もともとカーポートを置けない狭小地や敷地形状は、ソーラーカーポートも設置は難しいでしょう。
また、カーポートを設置する地盤の強度はもちろん、強風や積雪の影響を考慮しなければなりません。強風地域や豪雪地域では、安全性の観点で対応する仕様を選択する必要があります。
影や天候の影響で発電効率が低下する可能性
太陽光発電は日照条件に大きく左右されます。周囲の建物や樹木の影響で太陽光パネルに影がかかると、どうしても発電効率は低下してしまうものです。ソーラーカーポートは、一般的に住宅そのものよりも低い位置に設置されるため影の影響も受けやすいです。
また曇りや雨の日が年間を通じて多いと、ソーラーカーポートは十分な発電量を確保できないでしょう。
このデメリットを最小限に抑えるためには、悪天候でも十分な発電ができる太陽光パネルを選ぶことが必要です。
ソーラーカーポートの導入で失敗した例とよくあるトラブル

ソーラーカーポートを導入してから、思わぬトラブルや失敗に直面するケースもあります。これから紹介する事例を参考に、こうしたトラブルを回避しましょう。
想定より発電量が少なく効果を実感できなかった
事前のシミュレーションでは十分な発電量が見込まれていたものの、実際には影の影響や天候不良で発電量が低下し、期待していた効果を実感できなかったという失敗例です。
周囲の環境が変化する可能性(新築の建物や成長する樹木など)を考慮していないと、予想外の影響を受けることがあります。このような失敗を防ぐためには、長期的な視点で環境変化を見越した計画が必要です。
強風・積雪による破損や倒壊のリスク
自然災害によってソーラーカーポートが破損する事例も少なくありません。強風で太陽光パネルが飛散したり、積雪で構造物が倒壊したりするリスクを想定しておきましょう。
ソーラーカーポートには強風や積雪に備えられるオプションが用意されているケースも多くあります。台風被害の多い沖縄や積雪地域の北海道など、地域に応じて適切なオプションを導入し、破損・倒壊を防ぎましょう。
設置不良による配線トラブルや電力供給の問題
設置業者の技術不足やミスにより、配線ミスや接続不良が起こるケースがあります。その結果、発電量が低下したり、最悪の場合は火災の原因となることもあります。
こうしたトラブルを防ぐためには、信頼できる業者を選ぶことが大切です。口コミや実績などから、信頼できる業者かどうかを判断しましょう。
ソーラーカーポートを導入前に確認すべき注意点

ソーラーカーポートを導入する際にはいくつかの注意点を押さえておく必要があります。事前にしっかりと準備し、リスクを最小限に抑えましょう。
設置場所の日照条件と影の影響を事前にチェック
まず、設置予定地の日照条件を正確に把握することが重要です。専門業者に依頼して、年間の日射量や影の影響に基づいた発電シミュレーションをしてもらいましょう。
発電シミュレーションで十分な発電量が得られることを前提に、ソーラーカーポートの導入を本格的に検討しましょう。
耐風・耐雪性能を考慮したモデルを選択
ソーラーカーポートの導入を決めたら、地域の気象条件に適したモデルを選ぶことが求められます。
「住んでいる地域の積雪量はどうか?」「台風リスクはどの程度で考えるべきか」を踏まえ、適切なモデル・オプションを選びましょう。
万が一に備え、災害補償がついているモデルを選んでおくとより安心です。
信頼できる業者を選び、設計・設置を依頼
設置業者の選定は非常に重要です。実績や資格を持ち、アフターサービスが充実している業者を選びましょう。信頼できる業者を選ぶためのポイントは次のとおりです。
- 実績が豊富であるか
- 見積もり価格は適正か
- 保証内容が充実しているか
ソーラーカーポートのメーカー保証と、ソーラーカーポートを設置する業者の保証の両方を備えておけば、長期間安心して過ごせるでしょう。
まとめ

ソーラーカーポートは、環境にやさしく経済的なメリットが期待できる一方で、初期費用の高さや設置条件などの「やめたほうがいい」といわれる理由も存在します。メリット・デメリットを正しく理解し、自身の状況に合った判断をしましょう。
リスクを踏まえておけば、ソーラーカーポートは生活に大きな利益をもたらします。ぜひ導入を検討してみてください。
ジャパンライフアシストではソーラーカーポートをはじめ太陽光発電の導入サポートを提供しています。「ソーラーカーポートが適切な選択肢かわからない」という方は、お気軽にご相談ください。