【2025年】太陽光発電はやめたほうがいい?理由と後悔しないための注意点を解説

太陽光発電の導入を検討している方の中には、「設置費用が高い割に元が取れない」「売電価格が下がってきている」など、太陽光発電を導入して後悔したという声を目にして、導入をためらう方も少なくありません。
太陽光発電には確かにデメリットとなる側面がありますが、国や自治体による補助金制度を利用すれば安価に導入できるうえ、買電電気代の高騰や災害時への備えにもなります。
このコラムでは、太陽光発電はやめた方がいいといわれる理由や、導入時の注意点など詳しく解説しますので、デメリットや注意点を理解したうえで、導入を検討しましょう。
「太陽光発電はやめたほうがいい」といわれる理由とは?

「太陽光発電はやめたほうがいい」といわれる理由としては、主に次のようなものがあげられます。
- 初期費用が高額
- 売電価格の下落で収益性が低下
- 設置場所や屋根の条件によって発電効率に差が出る
- 定期的なメンテナンスや交換費用がかかる
それぞれがどのような問題点を抱えているのか、順番に見ていきましょう。
初期費用が高額
「太陽光発電はやめたほうがいい」といわれる要因として、まずあげられるのがシステム導入にかかる初期費用の高さです。
太陽光発電の導入費用は、1kWあたり26.1万円~28.8万円が目安となっています。一般家庭に設置される太陽光発電システムは4kW~6kW程度の容量が一般的となっているため、導入費用の相場はおよそ100万~150万円程度となるでしょう。
実際の費用はパネルの種類や設置工事の内容によっても異なりますが、いずれにせよ気軽に支払える金額ではありません。費用対効果を十分に見極めたうえでの導入が欠かせない点は否めないでしょう。
参考元:経済産業省『令和6年度以降の調達価格等に関する意見』
売電価格の下落で収益性が低下

太陽光発電を導入する大きな目的のひとつに「余剰電力の売電による収益」があります。しかし、売電価格は年々下落しており、以前のような高収益は期待しにくくなっています。
実際、2012年度には1kWhあたり42円で売電できました。しかし2025年3月現在ではその価格は16円にまで下がっています。売電価格が低いと収益性が下がり、初期費用を回収するまでの期間が伸びてしまうことは否定できません。
参考:資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2012年度~2023年度)」
参考:資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2024年度以降)」
設置場所や屋根の条件によって発電効率に差が出る
太陽光発電は、設置する場所や屋根の条件によって発電効率に差が出るものです。
太陽光パネルを設置する屋根の方角が南面で日当たりが良ければ高い発電量が期待できますが、東面や西面の場合は南面の80〜90%程度の発電量となってしまいます。周囲に高い建物・樹木がある場合も発電効率が落ちます。
北面になると発電効率は著しく低下し、メーカーでも推奨されない設置条件となってしまうでしょう。
しかし、北面屋根でも、太陽光パネルを南傾斜にできる特別な架台があれば問題を解決できます。
定期的なメンテナンスや交換費用がかかる
太陽光発電は一度設置すれば終わりの設備ではありません。長期的な運用には定期的なメンテナンスやパワーコンディショナーの交換が求められます。パネルの劣化や汚れが発電効率に影響を与えるため、定期的な点検や清掃が必要です。
点検や清掃には専門家の対応が必要なため、自力対応でコストを浮かすこともできません。また、太陽光発電システムに欠かせないパーツのパワーコンディショナーも20年程度で交換が推奨されているため、高額出費の原因となってしまうのです。
2025年の太陽光発電の最新動向

最新の事情を踏まえて、住宅への太陽光発電システム導入がよい選択肢なのかどうかを検討してみることも大切です。2025年3月現在の太陽光発電の最新動向を紹介します。
FIP(市場連動型買取制度※)のスタート
FIT(固定価格買取制度)の運用で発生した問題に応じ、FIP(市場連動型買取制度)という新制度が2022年に導入されています。これは太陽光発電にとって大きな影響を与える変化となりました。
FITは、発電した電力を一定の価格で長期間買い取る仕組みです。再生可能エネルギーの普及促進を目的としていましたが、電気を使う国民への賦課金負担などの問題が発生したため、政府は市場原理に基づいたFIPへと転換することになったのです。
FIPは、電力市場の価格に応じて売電価格が変動する仕組みです。市場価格にプレミアム(補助額)を加算して売電価格が決まるため、価格が高い時には収益が増えますが、低い時には利益が減るリスクもあります。
そのため、自家消費を重視した運用が今後の主流になりつつあるのです。「売電しても利益が得られない」という理由から「太陽光発電はやめたほうがいい」と思っている場合でも、自家消費するなら、買電電気代を抑えられるメリットがあるのです。
※:FIP(Feed-in Premium)
参考:資源エネルギー庁「再エネを日本の主力エネルギーに!「FIP制度」が2022年4月スタート」
買電電気代の高騰とエネルギー自給の重要性
世界情勢の悪化などさまざまな要因により、電気料金は上昇傾向にあります。今後も価格の安定は見通せない状況が続くでしょう。そうした状況では、エネルギーの自給自足が重要視されるようになります。
特に、太陽光発電では「自家消費型」の運用が注目されています。自宅で発電した電力をそのまま使用すれば、買電電気代の削減が可能になるでしょう。災害時にもエネルギーを自給自足できるため、もしもの備えにも太陽光発電は役立つのです。
蓄電池の普及と自家消費型の増加
太陽光発電の普及とともに、蓄電池の導入も年々増加しています。これまでの太陽光発電は、昼間に発電し余剰分を電力会社へ売る「売電型」が主流でしたが、最近では「自家消費型」への移行が進んでいます。
自家消費型が増えた背景には、「やめたほうがいい」理由であげられたような売電価格の高騰が存在しています。電気を売るよりも「自分で使ったほうが得」と考える方が増えているのです。
蓄電池は、電気を蓄えられる二次電池(充電池)です。太陽光発電システムは発電をする設備であり、単体では電気を蓄えることはできません。しかし蓄電池があれば発電分をためて、夜間や悪天候時にも電気を使用できるようになるのです。
国と自治体の補助金制度【2025年3月最新】
補助金が利用できれば太陽光発電の導入コストを大幅に抑えられます。初期費用の高さで利用をためらっていた方にとってはよい選択肢となるでしょう。
国による住宅用太陽光発電単体への補助金は、2013年末に廃止されました。2025年度についても、太陽光発電単体を対象とする国の補助金制度は予定されていません。
しかし、ZEH(Net Zero Energy House)と組み合わせた新築住宅や、蓄電池などの設備とあわせた導入ならば補助金を受けられる場合があります。2025年に実施されることが分かっているZEH関連の国の支援事業は次のとおりです。
補助金の名前 | 補助の詳細(住宅の新築) | 公式サイト |
戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業(経済産業省・国土交通省連携事業) | ZEH住宅新築:55万円/戸 ZEH+住宅新築:90万円/戸 ZEHまたはZEH+化に加え蓄電システム、低炭素化素材または再エネ熱利用:蓄電システム2万円/kWh(上限額20万円/台) ZEH+に、高度エネマネ、おひさまエコキュート、EV充電設備を導入:高度エネマネ定額2万円/戸等 既存戸建住宅の断熱リフォーム:補助率1/3以内(上限120万円/戸。蓄電システム、電気ヒートポンプ式給湯機等に別途補助) | https://www.env.go.jp/content/000248499.pdf |
子育てグリーン住宅支援事業(国土交通省と環境省の合同事業) | GX志向型住宅:160万円/戸 長期優良住宅:80万円/戸※ ZEH水準住宅:40万円/戸※ 古家の除却が伴う場合の補助額の加算額:20万円/戸 | https://kosodate-green.mlit.go.jp/ |
その他、東京都では次のような補助金が提供されています。
補助金の名前 | 補助の詳細 | 他の補助金との併用可否 | 公式サイト |
災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業 | 太陽光発電:1kWあたり15万円(上限45万円) 蓄電池:1kWあたり19万円(上限95万円。蓄電池容量6.34kWh未満の場合) | 国や市区町村のものは可能 東京都が提供するものは不可 | https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/climate/home/dannetsu-solar/ |
東京ゼロエミ住宅 | 20万円から最大210万円 | 国や市区町村のものは可能 東京都が提供するものは不可 | https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/climate/home/tokyo_zeroemission_house/ |
これらの補助金の詳細や提供の有無については変更される場合があります。常に最新情報をチェックするようにしましょう。
ジャパンライフアシストでは補助金の申請代行もおこなっていますので、お気軽にご相談ください!
太陽光発電のデメリットと導入前に知っておくべき注意点

太陽光発電は自家発電・自家消費を軸に利用することで、節電や災害対策といったメリットを得られますが、デメリットも存在します。
デメリット・注意点を把握したうえで、導入をしっかり検討しましょう。
屋根の設置スペースの問題
太陽光発電にはどうしても屋根にスペースが必要になってしまいます。屋根の形状や傾斜が適切でないと、十分なパネルを設置できず、発電効率が低下することもあるでしょう。
屋根に段差がある、複雑な形状をしている、傾斜が急すぎるといった場合は、設置できるパネル枚数が限られることがあります。
導入前には業者と相談をおこない、屋根にパネルを設置できるかどうか、適切な形状のパネルがあるかどうかを確認することが大切です。
天候や日照条件による発電量の変動
太陽光発電は天候や日照条件に大きく左右されるため、安定した発電量を確保するのが難しいというデメリットがあります。
晴天時には高い発電効率を期待できますが、太陽が出ていない日には発電量が大幅に低下してしまうのです。
また、設置場所の日照条件も重要な要素です。屋根の向きや角度、周囲の建物や樹木の影の影響によっては、想定していた発電量を確保できないケースもあります。
特に北面の屋根や高い建造物の近くに設置する場合は注意が必要です。日照時間が短くなり、発電効率が低下する可能性が高くなります。業者に相談し、南面に向けるための架台設置位置を高くするなどで対策ができるか確認しましょう。
メンテナンス不足による発電効率の低下
太陽光発電システムは長期間使用できますが、適切なメンテナンスを怠ると発電効率が低下します。定期的な点検や清掃を業者に依頼しましょう。
アフターメンテナンスが充実している太陽光パネルメーカーを選ぶと安心して利用できます。長期間太陽光パネルの性能を維持することにも繋がるでしょう。
後悔しないために!太陽光発電の導入を成功させるコツ

太陽光発電の導入を成功させるためには、次のコツを抑えておきましょう。
- 発電量シミュレーションをおこない収益性を確認
- 信頼できる設置業者を選ぶ
- 売電と自家消費のバランスを考えた設計
それぞれのコツの詳細について解説します。
発電量シミュレーションをおこない収益性を確認
太陽光発電の導入を成功させるためには、業者に事前に発電量をシミュレーションしてもらうことが大切です。年間の発電量や売電収入見込みなどを試算し、太陽光発電の導入でメリットを得られるかどうかを確かめましょう。
導入前に複数の業者からシミュレーションを取り条件を比較すれば、より良い条件で太陽光発電を導入することもできるでしょう。
信頼できる設置業者を選ぶ
太陽光発電の導入で後悔しないためには、信頼できる設置業者を選ぶことが重要です。評判や口コミをチェックし、ネガティブな書き込みがないかどうかを確認しましょう。
ただし、SNSや掲示板の書き込みは主観や嘘が入り混じっている可能性もあるため、1つだけの書き込みを鵜呑みにせず、複数の情報をチェックして総合的に判断することが大切です。
また、公式サイトなどで提示されている設置実績の数などもチェックしてみましょう。実績が多いほど、利用者に信頼されている証といえます。
売電と自家消費のバランスを考えた設計
太陽光発電を導入する際には、売電だけでなく、自家消費ができる設計を心掛けましょう。具体的には、蓄電池の導入が有効です。
蓄電池を導入すれば、買電電気代の節約や災害時の備えといったメリットを得られます。電気を自家発電・自家消費すれば、高騰する買電電気代の支払いを抑えることが可能です。蓄電池にも初期費用はかかりますが、補助金が利用できる場合もあります。
まとめ

太陽光発電は「やめたほうがいい」といわれることもありますが、実際には設置条件や経済性、制度の理解次第で大きなメリットを発揮する設備です。電気の自家発電・自家消費をおこなって節電や災害への備えをしましょう。
導入を検討する際は、国や自治体の補助金制度を活用することが大切です。自治体ごとに利用できる補助金が異なるため、最寄りの役場などに問い合わせて確認しておくようにしましょう。
ジャパンライフアシストでは、太陽光発電や蓄電池の導入提案・施工、補助金の申込サポートを提供しています。太陽光発電導入を検討している方は、ぜひお気軽にお問合せください。