蓄電池とは?基本の仕組みと種類・太陽光発電との適合をわかりやすく解説!

蓄電池とは、電気をためておくことで必要な時に使えるようにする装置です。
いまや蓄電池は、スマートフォンや電気自動車など、私たちの身の回りのさまざまなものに使われていますが、「自宅に導入するとどんなメリットがあるの?」「種類や選び方がわからない」という方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、蓄電池の基本的な仕組みから、種類別の特徴、太陽光発電との組み合わせ、メリット・デメリット、最新の活用方法まで、蓄電池に関する疑問をまるごと解説します。ご家庭への導入を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
家庭用蓄電池とは?基本の仕組み

蓄電池とは、電気を化学エネルギーに変換して蓄え、必要な時に再び電気として取り出して使えるようにする装置のことです。充電することで繰り返し使用できるのが特徴で、スマートフォンやノートパソコン、電気自動車などにも使われています。
蓄電池の主な種類とは?特徴と違い
蓄電池には使われる材料や構造によってさまざまな種類があります。主な種類としては、リチウムイオン電池、鉛蓄電池、全固体電池、NAS電池、フロー電池などがあります。これらの蓄電池はそれぞれ異なる特徴を持っており、用途に合わせて使い分けられています。
リチウムイオン電池は、エネルギー密度が高く小型軽量化が可能なため、スマートフォンやノートパソコン、電気自動車などに広く使われています。
一方、鉛蓄電池は、比較的安価で大電流を流せるため、自動車のバッテリーや非常用電源などに使われています。
このように、蓄電池は種類によって特徴が大きく異なるため、それぞれの特徴を理解し、目的に合った蓄電池を選ぶことが重要です。
リチウムイオン電池:高性能で家庭用の主流
リチウムイオン電池は、現在最も広く使われている蓄電池の一つです。
他の種類の蓄電池と比較して、エネルギー密度が高く、小型軽量化が可能で、さらに長寿命であるという優れた特徴を持っているからです。
リチウムイオン電池は、スマートフォンやノートパソコンなどのモバイル機器だけでなく、電気自動車や家庭用蓄電池など、幅広い用途で利用されています。とくに家庭用蓄電池においては主流となっています。
ただし、リチウムイオン電池は、過充電や過放電、高温環境下での使用などにより、劣化や発火のリスクがあるため適切な管理が必要です。
鉛蓄電池:コストが安いが寿命が短い
鉛蓄電池は、最も古くから使われている蓄電池の一つで、自動車(ガソリンを燃料とする自動車)のバッテリーや非常用電源として広く利用されています。比較的安価で大電流を流せますが、寿命が短く、重量が大きいというデメリットもあります。
他の蓄電池に比べてエネルギー密度が低く、充放電を繰り返すと性能が劣化しやすいため、寿命が短い傾向にあります。また、重量が大きく、サイズも大きくなるため、用途が限られます。
しかし、比較的安価で大電流を流せるというメリットがあるため、自動車のバッテリーや非常用電源など、コストが重視される用途では広く使われています。
全固体電池:次世代型で安全性が高い
全固体電池は、現在主流のリチウムイオン電池の電解液を固体電解質に置き換えた次世代の蓄電池として注目されています。その最大の特徴は、安全性の大幅な向上です。
従来のリチウムイオン電池は、過充電や過放電、外部からの衝撃などにより発火や爆発のリスクがありました。しかし、全固体電池は電解質が不燃性の固体であるため、液漏れや発火の心配がなく、安全性が格段に向上します。
また、エネルギー密度が高く、長寿命化が期待できるというメリットもあります。さらに、温度変化にも強く、高温や低温環境下でも安定して動作するため、電気自動車や産業用蓄電池など、幅広い用途での利用が期待されています。
ただし、全固体電池はまだ開発段階であり、さまざまな課題もあります。研究が進み、これらの課題が解決されれば、将来的にはリチウムイオン電池に代わる主流の蓄電池となる可能性があるのです。
NAS電池・フロー電池:産業用に活用される大容量タイプ
NAS電池とフロー電池は、主に大規模な電力貯蔵システムや産業用蓄電池として活用されている大容量タイプの蓄電池です。
NAS電池は、大容量で長寿命という特徴があります。ただし、作動温度が300℃程度と高温であるため家庭用蓄電池には向いていません。主に、電力系統の安定化や再生可能エネルギーの出力変動対策などに利用されています。
フロー電池は、電解液を循環させることで充放電をおこなう蓄電池です。電解液のタンクを大きくすることで、容易に大容量化できるという特徴があります。優れた耐久性を持ち、安全性が高いので市街地にも設置可能です。
これらの蓄電池は家庭用蓄電池としては一般的ではありませんが、大規模な電力貯蔵や産業分野において重要な役割を果たしています。
太陽光発電と蓄電池の適合性

太陽光発電と蓄電池は非常に相性が良い組み合わせです。
太陽光発電は、太陽の光エネルギーを電気に変換するシステムですが、天候に左右されやすく、夜間は発電できません。
一方、蓄電池は電気をためておくことができるため、太陽光発電の弱点を補完し、電力の安定供給を可能にします。
日中の余剰電力をためて夜間に使用
太陽光発電と蓄電池を組み合わせる最大のメリットは、日中に発電した余剰電力を蓄電池にためて、夜間に使用できることです。
太陽光発電システムだけの場合、日中に発電した電力が余ると電力会社に売電することになります。しかし、売電価格は購入価格よりも安いため、経済的なメリットはそれほど大きくありません。
一方、蓄電池を導入すると、日中に発電した電力を蓄電池にためておくことができます。
そして、太陽光発電が発電しない夜間や、電力消費量が多い時間帯に、蓄電池にためた電力を使用することができます。これにより、電力会社から購入する電力量を減らし、買電電気代を大幅に削減することができます。
FIT(固定価格買取制度)終了後の自家消費対策
太陽光発電のFIT(固定価格買取制度)は、10年間の買取期間が終了すると売電価格が大幅に下落します。そのため、FIT終了後※は、売電するよりも自家消費する方が経済的メリットが大きくなります。
蓄電池は、このFIT終了後の自家消費対策として非常に有効です。日中に発電した余剰電力を蓄電池にためて、夜間や電力消費量が多い時間帯に自家消費することで、電力会社から購入する電力量を減らし、買電電気代を削減できます。
FIT終了後も売電を続けることは可能ですが、売電価格は大幅に下がるため、蓄電池を導入して自家消費率を高める方が経済的なメリットは大きくなります。
※FIT制度終了のことを「卒FIT」ともいいます。
パワーコンディショナーとの相性を確認
太陽光発電システムと蓄電池を導入する際には、パワーコンディショナー(パワコン)との相性を確認することが重要です。
パワコンは、太陽光パネルで発電した直流電力を家庭で使える交流電力に変換する装置で、太陽光発電システムと蓄電池の両方に必要な機器です。
パワコンには、太陽光発電用と蓄電池用が一体となった「ハイブリッド型」と、それぞれ別々の「単機能型」があります。
ハイブリッド型 | 太陽光発電と蓄電池を1台のパワコンで制御するため、電力の変換ロスが少なく、効率的に電気を利用できます。また、設置スペースもコンパクトになります。 ただし、既存の太陽光発電システムが設置してある場合、パワコンも交換しなけらばならないことがあります。 |
単機能型 | 太陽光発電用と蓄電池用のパワコンがそれぞれ必要になります。既存の太陽光発電システムのパワコンをそのまま利用できる場合が多いですが、電力の変換ロスが発生しやすく、設置スペースも広くなります。 |
どちらのタイプのパワコンを選ぶかは、既存の太陽光発電システムの状況や、導入する蓄電池の種類、予算などを考慮する必要があります。
太陽光発電と蓄電池の最適な組み合わせを選ぶ
太陽光発電と蓄電池を最大限に活用するためには、それぞれの機器の性能や特徴を理解し、最適な組み合わせを選ぶことが重要です。
まず、太陽光発電と蓄電池の容量のバランスを考慮する必要があります。太陽光発電の発電量より蓄電池の容量が大きすぎると、蓄電池の性能を最大限発揮できなくなってしまいます。
反対に小さすぎると、災害時などに十分な電力をためられません。また、その家庭の電力消費量や、停電時にどれくらいの電力を確保したいかによっても最適な容量は異なります。
メーカーによっても製品の性能や保証内容、価格などが異なります。複数のメーカーの製品を比較検討し、自分の家庭に合った最適な組み合わせを選ぶことが重要です。専門業者に相談し、見積もりを取ることは欠かせません。
家庭用蓄電池を導入するメリット・デメリット

家庭用蓄電池を導入すると、電気代の削減や停電対策ができるなど、多くのメリットがあります。しかし、同時に初期費用が高額であることや、寿命があることなど、いくつかのデメリットも存在します。
家庭用蓄電池の導入を検討する際には、メリットとデメリットの両方を理解し、自分の家庭の生活スタイルや目的に合っているかを慎重に判断することが重要です。ここからは、家庭用蓄電池の主なメリットとデメリットについて詳しく解説します。
メリット①:電気代の削減と電力の自給自足
家庭用蓄電池を導入する最大のメリットの一つは、電気代を削減できることです。とくに、太陽光発電システムと併用することでより大きな効果が期待できます。
買電電気料金が安い夜間帯に蓄電池に電気を充電し、買電電気料金が高い昼間帯に蓄電池から電気を使用することで、電力会社から購入する電力量を減らすことができます。
また、太陽光発電システムがある場合は、日中に発電した余剰電力を蓄電池に充電し、夜間や天候が悪い時に使用することで、電力の自給自足率を高めることができます。
これにより、電力会社から購入する電力量をさらに減らし、電気代を大幅に削減することが可能になります。
メリット②:停電時の非常用電源として使える
家庭用蓄電池は停電時の非常用電源としても活用できます。近年、地震や台風などの自然災害による大規模停電が頻発しており、停電対策の重要性が高まっています。
家庭用蓄電池があれば、停電時でも蓄電池にためておいた電気を使用することができます。冷蔵庫や照明、テレビ、スマートフォンなどの家電製品を使用できるため、日常生活への影響を最小限に抑えられます。
とくにオール電化住宅や、小さなお子さんや高齢者がいる家庭では、停電時の備えとして家庭用蓄電池が非常に有効です。蓄電池の容量や種類によっては、数日間の停電に対応できる場合もあります。
デメリット①:初期費用が高額
家庭用蓄電池の導入には、高額な初期費用がかかるというデメリットがあります。蓄電池本体の価格に加え、設置工事費用や、場合によってはパワーコンディショナーの交換費用なども必要になるからです。
種類やメーカーによって価格は異なりますが、容量5~12kWh前後で約100~200万円程度の費用がかかります。
ただし、近年は蓄電池の価格が低下傾向にあり、国や地方自治体による補助金制度も利用できる場合があります。これらの制度を活用することで、初期費用を抑えることが可能です。また、電気代の削減効果により、長期的にみると費用を回収できる可能性があります。
デメリット②:寿命があり交換が必要
家庭用蓄電池には寿命があるため、永久に使えるわけではありません。蓄電池の種類や使用状況によって異なりますが、リチウムイオン電池は一般的に約10年から15年程度が寿命の目安とされています。
寿命が近づくと蓄電容量が徐々に低下し、十分な性能を発揮できなくなります。そのため、定期的な交換が必要です。交換費用は数十万円程度かかることもあります。
ただし、メーカーによっては長期間の保証を提供している場合があります。保証期間内であれば、無償で修理できる可能性もあります。
太陽光発電と組み合わせた蓄電池の活用方法

太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、単に電気代を削減するだけでなく、より高度なエネルギー活用が可能になります。ピークシフト、VPP(Virtual Power Plant)、エコキュートやEVとの連携、そして補助金の活用といった方法です。
これらの活用方法を理解し、自分のライフスタイルや目的に合わせて導入することで、太陽光発電と蓄電池のメリットを最大限に引き出すことができます。
ピークシフトで電力使用量を最適化
ピークシフトとは、電力需要がピークとなる時間帯を避け、電力需要が少ない時間帯に電気を使用するようにシフトすることです。家庭用蓄電池を活用することで、このピークシフトを効果的におこなうことができます。
電力会社との契約プランで、昼間の電気料金が高く夜間の電気料金が安いプランを選択します。そして、夜間の安い時間帯に蓄電池に電気を充電し、昼間の高い時間帯に蓄電池から電気を使用することで、電気料金を削減することができます。
太陽光発電システムがある場合は、日中に発電した余剰電力を蓄電池に充電し、夕方や夜間の電力消費量が多い時間帯に蓄電池から電気を使用することで、このピークシフトの効果をさらに高めることができます。
これにより、電力会社から購入する電力量を減らし、電気代を大幅に削減することが可能になります。
VPP(Virtual Power Plant)としての活用
VPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)とは、複数の小規模な発電設備や蓄電池などを、IoT技術を用いて統合し、一つの大きな発電所のように機能させるシステムのことです。
太陽光発電で発電した電気を家庭用蓄電池にためられるということは、このVPPの一部として活用することができるということです。
電力会社やVPP事業者と契約し、自分の家庭の蓄電池を遠隔制御できるようにします。そして、電力需給の状況に応じて、電力会社やVPP事業者からの指示で、蓄電池の充放電をおこないます。
これにより、電力の需要バランス調整に貢献することができ、発電所のコスト削減につながります。そうなれば、電気料金の値下げも期待できるでしょう。VPPは、再生可能エネルギーの普及拡大や、電力系統の安定化に貢献する新たな仕組みとして注目されています。
エコキュート(自然冷媒ヒートポンプ給湯機)やEV(電気自動車)との連携
家庭用蓄電池は、エコキュートやEVなどの他のエネルギー機器と連携することで、さらに効率的なエネルギー活用が可能になります。
エコキュートは空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器です。家庭用蓄電池と連携することで、夜間の安い電気を使ってお湯を沸かし、昼間の高い時間帯には蓄電池から電気を使用することで電気代を削減することができます。
EVは、電気を動力源として走行する自動車です。家庭用蓄電池と連携することで、太陽光発電で発電した電気や、夜間の安い電気をEVに充電し走行することができます。
また、V2H(Vehicle to Home)システムを利用すれば、EVにためた電気を家庭で使うことも可能です。
補助金を活用して導入コストを抑える
家庭用蓄電池の導入には高額な初期費用がかかるというデメリットがありますが、国や地方自治体による補助金制度を利用することで、導入コストを抑えることができます。
補助金制度は年度や地域によって内容や条件が異なりますが、蓄電池本体の価格や設置工事費用の一部が補助されます。太陽光発電と一緒に導入することで補助金の対象となることもあります。太陽光発電の導入を検討しているなら、蓄電池も同時に設置するとよいでしょう。
補助金制度を利用するためには申請手続きが必要になります。また、申請期間や予算枠が限られている場合もあるため、早めに情報を収集し、準備を進めることが重要です。
詳細については、お住まいの地域の自治体や、経済産業省のウェブサイトなどで確認することができます。専門業者に相談するのも良いでしょう。
まとめ

家庭用蓄電池を導入すると、電気代の削減や停電対策など、多くのメリットがあります。しかし、初期費用が高額であることや、寿命があることなど、いくつかのデメリットがあるのも確かです。
初期費用に関しては、補助金制度を利用することで負担を軽くすることができます。申請は複雑になることもあるので、施工業者に相談してみるとよいでしょう。導入が実現すれば定期的なメンテナンスも必要になるので、信頼できる施工業者を選ぶことも大切です。
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